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「いまの景気状態で、消費税の増税が強行されれば、家計への影響は計り知れません。日本経済も間違いなく悪くなってしまいます」

 

こう警鐘を鳴らすのは、政権与党の自由民主党内で、「消費増税の凍結」を一貫して主張してきた西田昌司参議院議員(60)だ。

 

10月に予定されている消費税の10%への増税。7月21日に投開票が行われる参議院選挙では、「老後2,000万円不足」問題と同様に大きな争点になることは間違いない。

 

そんななか、今回の参院選で3期目を目指す西田議員が、6月25日に本誌の取材を受け、消費増税反対の声を上げた。

 

税理士を経て、京都府議を5期務めた後、’07年から参議院議員に。国会で「政治とカネ」の問題を鋭く追求する姿勢などから、“国会の爆弾男”の異名がある西田議員は、消費増税が日本経済をどん底に突き落とすと考えている。

 

「アベノミクスで、景気はよくなっています。ただ、いちばんの問題は賃金が上がっていないこと。雇用が増えて、ようやく賃金も上がろうとしている局面で、消費税を10%にすれば、個人が消費に使えるお金が減ってしまいます」

 

軽減税率の対象となるのは、持ち帰りの食料品など、一部の品目だけ。購入する店舗の規模によって、還元率が2%か5%かで変わる、ポイント還元も’20年6月末までの期間限定だ。

 

「多くの人が外食や家族旅行などの消費を控えるようになるでしょう。これまで1カ月に1度だった外食が、2カ月に1度になれば、当然景気は悪くなりますよね。外食産業もお客さんが来なくなれば、そこで働く従業員にお金を払えなくなる。つまり、雇用が減り、給与も減る。すると、さらに個人消費が減ってしまう。こうした、負のスパイラルが日本中に拡大してしまうんです」

 

だが、財務省が“国の借金”と表現する国債などは、現在1,000兆円ほどある。消費税の増税を行わなければ、将来世代にツケを回してしまうのではないか。

 

「そもそも、国は中央銀行(日本銀行)を通して、通貨を発行することができます。いくら国債を発行しても、財政破綻することはありません」

 

国債の信用度は金利の低さに現れる。現在の日本国債の金利は、0.1%という超低金利だ。

 

「デフレ下のいまこそ、どんどん国債を発行すべきだと考えています。すると、通貨の量が増えるわけですから、物価が上昇するインフレになります。まずはデフレ脱却が最優先です。そして、目標とするインフレ率が達成されてから、消費税の増税を行えばいいのです」

 

自国通貨を発行できる政府は、ハイパーインフレにならない限り、財政赤字を心配する必要はないという考えは、MMT(現代貨幣理論)として、世界中で注目されている。

 

「日本は900兆円もの国債を発行していながら、破綻しないどころか金利が下がってきた。これを財務省はどう説明するのでしょうか? 財務省は現実を見てほしい」

 

デフレ脱却のためには、個人の所得が上がる必要がある。

 

「企業の業績がよくて、株価がそこそこ高くなっても、従業員に給料として還元されないから、個人消費が増えない。さらに、働き方改革で残業代が減って、家庭に入る給料総額も少なくなっています。これでは、デフレから脱却できるはずはありません」

 

財務省は、“すでに軽減税率などの準備を進めているので、いまさら消費増税を延期したら、大混乱になってしまう”として、反対意見を封じ込めようとしている。

 

「先の大戦では、米国と戦うのは危ないとわかっていながら、日本は戦争に突き進んでいきました。“決まったから、やめられない”では大日本帝国陸軍と同じ。もちろん、凍結による混乱はあるかもしれないが、実際に経済が悪くなることを考えれば、どちらの混乱のほうがいいでしょうか」

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