ゴミ出しが苦手な若者が増えている……。 画像を見る

「実は近年、20~30代の若い人たちのゴミ屋敷化が増えているんです」

 

そう指摘するのは、『ルポ ゴミ屋敷に棲む人々』(幻冬舎)の著者で、公衆衛生看護学の専門家の岸恵美子東邦大学大学院(看護学研究科)教授だ。岸先生は、近年マンションの一室がゴミ部屋になっているケースも増加していると語る。マンションのゴミ部屋は一軒家と違って外から見えないため発覚しにくいのだという。

 

「高齢者は、身体的な衰えによりゴミ捨て場までゴミを運べないためゴミ屋敷になるということが多い一方、若い人の場合は、仕事が忙しく、朝出勤するまでの時間にゴミ出しができず、ベランダや部屋にため込んでしまうのです」

 

今年7月、人気となった多部未華子主演のドラマ『私の家政婦ナギサさん』(20年・TBS系)。このヒロインのメイも、仕事はできるが、家事が苦手で片付けられない28歳の女性だった……。

 

「まさに、このヒロインのような若者が増えているんです。仕事が忙しく、職場の人間関係にも苦労していたりすると、家に帰りついたときには、もうぐったりで何もできない。中には、風呂場やトイレにまでモノがあふれてしまっているケースも。その人は家のトイレが使えないため、コンビニまで行って用を足していると話していました」

 

ドラマのヒロインのメイは、家政婦のナギサさんとの出会いで、家事を任せることができ、恋も家事も手に入れたが……。

 

「ドラマ内にも、実家の母が来るので、家政婦さんに部屋を片付けてもらうという場面がありました。実際にも、親が自分の家に来る、またはマンションの点検が入るなどの場合に、清掃業者さんにゴミを片付けてもらうよう依頼する人がいるのです」

 

この背景には、少子化で過保護に育ったことが原因の一つではないかと、岸教授は分析する。

 

「40~50代の親世代は、もともと家事スキルが高い世代です。子供が家にいるときにも、掃除も洗濯も片付けもなんでもやってあげていた。そのため、子供は家事が全くできないまま巣立っていく。ものを買うことはできても、捨てることができないため、物がどんどん増えていってしまうのです。その結果自分ではどうしようもなくなってしまう。

 

まず、自分の子供には、ゴミの分別くらいは覚えさせましょう。そして家の掃除もすべて親がやってしまわずに、子供にやらせるべきです。それが未来のゴミ屋敷化を防ぐことにつながるのです」

 

若者だけでなく高齢者のゴミ出し問題も話題になる昨今。現在の40~50代は、親と子供のゴミ問題にサンドイッチされた世代なのだ。

【関連画像】

関連カテゴリー: