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「がんを患っていたお母さんの容態が急変して、田中さんが病院に駆けつけました。しかし、意識はあってももう話すことすらできない状態だったそうです。田中さんはお母さんの手を握り締めて、『俺、役者として絶対に成功するから』と涙ながらに誓ったといいます」(田中をよく知る舞台関係者)  

 

ドラマ『おっさんずラブ』(テレビ朝日系)で、18年最もブレークした、俳優の田中圭(34)。期待されていた映画化も決定し、各局のバラエティにも引っ張りだこの人気ぶりだ。だが、そんな華々しい活躍のカゲで、最愛の母が今年の1月15日にがんで急逝していた――。

 

「お母さんのがんが発覚したのは17年の夏。検査結果が出たときはすでにステージが進行していたそうですが、根治を目指して前向きに治療を始めました。お母さんはがんと思えないくらい元気で、お正月も好物の中トロとカニをたくさん食べていたとか。それが医者も驚くほどいきなり容体が急変してしまって……」(田中の知人)

 

もうすぐ一周忌を迎える最近になって、田中は雑誌のインタビューで母の死をこう振り返っている。《今年のはじめに母は他界したので、残念ながら母に『おっさんずラブ』を見てはもらえませんでした》(『東京カレンダー』11月21日発売号)

 

前出の舞台関係者はこう語る。

 

「ファン限定公開のブログではお母さんが亡くなったことを報告したものの、田中さんはこの1年間あえて公言しなかったんです。今年は仕事に邁進すると決めた以上、変に同情されたり色眼鏡で見られたりすることを避けたかったのかもしれません。ただ、一周忌も近くなり、自身の人生の転機ともなった18年を総括するうえで、語らずにはいられなかったのだと思います」

 

父もきょうだいもおらず、母一人子一人の母子家庭で育った田中。俳優の道に導いてくれたのも、ほかならぬ母だった――。

 

「中学3年生のころにお母さんがオーディションに応募したんです。『母子家庭という理由で息子に悲しい思いはさせない』というのが、お母さんのモットー。田中さんの出身中学・高校は有名私立で、学費も年間80万円近くかかるのですが、お母さんは必死に仕事をして通わせたといいます。田中さんは『今の俺があるのは全部母ちゃんのおかげ。母子家庭で嫌な思いをしたことは一度もない』といつも感謝していましたね」(前出・知人)

 

そんな一心同体だった母を突然失ってしまったショックはいかばかりか――。家族問題評論家の池内ひろ美さんはこう分析する。

 

「シングル家庭の場合、『子どもには順風満帆な人生を送ってほしい』と、親が過剰な期待をかけてしまいがち。それで親子関係がギクシャクしてしまうことも多いのですが、お母さんが亡くなったときの田中さんの対応を聞くと、親子でいい距離感を保っていたことがわかります。だからこそお母さんの死にただ打ちひしがれるのではなく、辛い経験をバネに俳優として躍進できたのだと思います」

 

涙を隠して、必死で生き抜いた18年。その原動力となったのが、愛妻(35)と2人の娘たちだ。

 

「お母さんが亡くなったことで、田中さんはいままで以上に家族との時間を大切にするようになりました。年末年始も多忙なスケジュールで、次に休みを取れるのは3月中旬から末までと聞いています。その少ない休みを家族サービスにあてようと今から計画を立てているそうです」(前出・知人)

 

前出のインタビューで、《今年の僕の状態を誰よりも願っていてくれたのが母ちゃんだったから、母ちゃんのためにも後悔しない人生を送らないと》と語っていた田中。「ずっと2人」だった母との記憶が、これからも田中を鼓舞してくれることだろう――。

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