前出の芸能プロダクション幹部によれば、制作スタッフは中止の理由について次のように説明したという。

 

「主演の多部さんの事務所が降板を申し入れてきたそうです。もともと続編制作については、多部さんサイドからは、『作品の世界観を大事にしたいので、前作と同じキャスト・スタッフで臨みたい』という、条件が出されていたそうです。

 

演出も前作と同じ中島悟監督に決まり、主要キャストをはじめ、多くの出演者たちのスケジュールも押さえることができたのだそうですが……」

 

せっけんメーカーの同僚社員役の1人が、出演することができなくなってしまったのだという。

 

「存在感があるいい俳優さんです。しかし続編でのキャスト変更は、この世界では珍しくないことですからね。

 

でも、そこから多部さんサイドは、不信感を抱くようになったそうです。制作側は説得を続け、台本も5話分まで用意して送ったそうです。ただ多部さんサイドは台本にもいい印象を持てなかったようで、最終的に『作品世界を大切にする多部の気持ちを軽んじている』と、降板を決めたと聞いています。いまスタッフたちも、出演が決まっていた俳優たちへの事情説明で大変なようです」

 

NHKの大混乱は事情説明ばかりではない。

 

「来年4月の放映枠がポッカリ空いてしまいました。いろいろ代案も提案されましたが、上層部からのOKも出ず……。『このままでは過去のドラマの再放送でしのぐしかない』という悲鳴も上がっています」(前出・NHK関係者)

 

そこで多部の所属事務所に、『これは経費で落ちません!』続編中止騒動について、取材を申し込んだところ、担当者は次のように回答した。

 

「前作キャスト・スタッフの続投という当初のお約束がかなわなかったため、成立にいたりませんでした」

 

出演辞退は、あくまでも台本などの問題ではなく、“キャストの続投”という約束が果たされなかったためだというのだ。

 

それにしても、これほど間際での連続ドラマ制作中止は、よくあることなのだろうか。

 

「主要出演者の病気や事故、あるいは逮捕による中止ということならあるとは思います。でも、“都合がつかない出演者がいるから”という理由で、主演俳優が降板するのは非常に珍しいですね」(ベテランのドラマ制作関係者)

 

食い違うドラマ制作サイドと多部サイドの主張。だが多くの視聴者が待ち望んでいた『これは経費で落ちません!』の続編放映が遠のいてしまったことは間違いない。

 

「女性自身」2020年9月22日号 掲載

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