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「これほど早く花粉が飛散したのは暖冬の影響によるものです。今年のスギ花粉の飛散のピークは、東京では2月下旬から3月下旬まで。飛散の収束時期は例年とあまり変わらない見込みで、これはつまりピークが例年よりも長い期間となるということです。さらにスギ花粉のピークが終わるころになると、今度はヒノキの花粉が飛び始めます。ヒノキの飛散のピークは東京で4月上旬から下旬まで続きます」

 

そう話すのは、日本気象協会の気象予報士、堀口貴司さん。新型コロナウイルスの感染拡大がいまなお続くなか、今年も花粉症の季節がやってきた。東京都では、青梅市と八王子市で2月3日からスギ花粉の飛散開始を確認したという。飛散開始は、過去10年の平均(2月17日)より14日、昨年より8日も早い。

 

スギ花粉の飛散量は前年の6〜7月の天候が影響するという。気温が高く、日照時間が長くて雨が少ないと、花芽がたくさんつきやすく、翌春の花粉の飛散量が多くなるそうだ。

 

昨年の6〜7月は雨や曇りの日が多かったため日射量が少なかった。そのぶん、花芽の成長が抑えられたと見られているが、10年ほど前と比べると花粉の総飛散量の平均が増え続けているので、前年より少ないからといってけっして油断はできない。

 

「今の時期は寒暖差が激しいので、日中の気温が高い日、雨上がりの翌日は花粉が飛びやすい条件がそろいます。その次の日に一気に気温が下がるとかぜをひきやすくなるので、体調管理にも注意が必要です。毎日の天気予報と花粉の飛散情報を合わせてチェックすることをおすすめします。特に、東京では西風、南西の風が吹く日は多摩地区から花粉が飛んでくると言われていますから、花粉症の方は早めの対策を心がけたほうがいいでしょう」(堀口さん)

 

そこで1日の時間帯別に、特に徹底したい花粉症対策をたなか耳鼻咽喉科の田中伸明院長に教えてもらった。

 

1日の中で花粉の飛散量がピークを迎える昼時は、体や服などに極力花粉を寄せ付けないこと、また家の中に持ち帰らないことを徹底しよう。

 

【外出するときはマスクと眼鏡でカバー】

外に出るときは、眼鏡で目を保護しよう。眼球やまぶたに花粉が付着するのを防ぐためにも、フレームのまわりに深めのフードがついているような、花粉をカットする設計の眼鏡も売っているので活用したい。

 

【静電気よけに帽子をかぶる】

空気が乾燥していると静電気が発生しやすい状況になるが、静電気は花粉を吸い寄せてしまう原因に。髪の毛など露出しているところに付着しやすくなる。外出するときは帽子をかぶって髪の毛をカバーしよう。

 

【帰宅時は外でコートをはたいてから室内へ】

ウール素材のコートは繊維の中に花粉が入り込んでしまい、部屋に持ち込んでしまう原因に。

 

「帰宅時は、玄関の前でコートをはたいてから家の中に入り、コートは玄関付近につるしておくと安心です」(田中先生・以下同)

 

【手洗い、うがいのついでに顔も洗う】

顔は露出しているので、鼻のまわりについた花粉を吸引しやすい。外出先から帰ったら、手洗い、うがいのついでにメークも落として顔も洗ってしまうと、肌についた花粉をすっきり落とすことができる。

 

【外出先から帰宅したら鼻うがい】

食塩水(ぬるま湯200mlと塩1.8gを混ぜる)を100円ショップで買えるドレッシング容器などに入れて、片方の鼻に容器の先をあて、食塩水をゆっくり吸い込み、吸った鼻から出す。これを繰り返してみよう。

 

【家の中でもできる軽い運動を】

「外に出る機会が減ると運動不足になります。部屋の中でできる軽めの運動を欠かさずに。テレビを見ながらでもできる踏み台昇降は、交感神経を刺激することで鼻詰まりを軽減する効果も期待できます」

 

外出すると、顔や首のまわりなど、露出している皮膚も花粉に反応して、赤く腫れたり、かゆみや湿疹が起こったりすることもある。

 

「花粉の飛散量が多くなる時期に症状が出る場合は『花粉症皮膚炎』が疑われます。予防のためには、マフラーやストールなどで首をガードすること。外出先から帰宅したら、手洗いとともに、首のまわりも洗うようにしたいです」

 

「女性自身」2020年3月3日号 掲載

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