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「会見の朝にいきなり電話が掛かってきて、『お母さん、復帰するけえ』と言うんです。あまりにも突然のことだったので、最初は意味が理解できませんでした」と語るのは、高橋大輔(32)の母・清登さん(67)。引退から3年8カ月、高橋が現役復帰を宣言した。

 

08年に右膝じん帯と半月板を損傷した高橋。ソチ五輪直前の13年11月には、右脛骨骨挫傷と診断された。それでもソチに臨んだが、結果は6位。14年3月の世界選手権も右膝関節炎のため欠場し、氷上でファンに挨拶できないまま引退することとなった。

 

引退後はアイスショーに出演するかたわら、キャスターとしてテレビ出演もしてきた。だが、これが本当に自分のやりたいことなのかというモヤモヤは晴れなかった。そうした自問自答の末、フィギュア選手として区切りつけるべく戻ってきたという。そんな高橋には、実現させたい夢があった。それは、ともに戦ってきた仲間たちを救いたいというものだ。

 

「現役時代に一定の成績を残した選手は、引退後もアイスショーなどに呼ばれてフィギュアを続けられます。しかしそうでなかった選手は、否応なしにリンクを離れなければならなくなります。活躍できる場がないからです。大輔は、そんな人たちがリンクを去ってしまうのが本当につらいみたいです。学校みたいな形になるのか、ショーをする団体のようになるのかは分かりません。ただ『引退した人たちがフィギュアを続けられる受け皿のようなものを作って運営する。そんな仕事がしたい』と話していました」

 

7月1日に行った復帰会見では「1年限定のつもり」と語っており、目標も「全日本選手権の最終組に残ること」と控えめ。それでも彼は、嬉しそうにこう明かしている。

 

「世界で勝てないのであれば現役はやめるべきだと思っていたのですが、それぞれの思いのなかで戦うということもいいんじゃないかと思うようになった」

 

選手たちを支える側にまわるためにも、まずは自分が選手としての区切りをきちんとつけておきたい。電撃復帰の陰には、そうした思いがあったようだ。清登さんは言う。

 

「結果よりも大輔らしい滑りをして、最後にみなさんに『ありがとうございました』とお礼を言って“現役”を卒業してほしい。そうすることで、今度こそ次のステップに進んでくれるはずです。たとえ再び引退して他のどんな仕事をしていたとしても、あの子の“原点”はフィギュアスケートなんですから」

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