「私って、すごく話し下手で、どうしてこんなにうまくしゃべれないのかって、自分でイライラしちゃうんです。ユーモアもないし……どうしたらいいんでしょう。話しが上手な人がもう、うらやましくて……」 以前、このような悩みを持つ女性に出会ったことがあります。その際、私は「話し上手になろうとするより、まず聞き上手になりましょうよ。お話が苦手な人は、話すのが得意な人より聞き上手になれる素質がずっとあるのですから」とお話ししました。

そう、私は話し下手であるということは、あまり悩む必要はないと思っています。面白おかしく話しができるというのは、確かに大きな長所です。人の心を惹きつけ、自分を上手にアピールできて、そこから運が開けることも多いでしょう。でも、話し上手の人は、とかく自分が話すことに無我夢中。自分の話で相手を楽しませようとサービスしすぎて、相手の話しにじっくり耳を傾けることを忘れがちです。せっかくためになる話を聞かせてくれる相手かもしれないのに、そのチャンスを逃してしまうんですね。

その点、話し下手の場合は、自分が話すことに自信ありませんから、どうしても聞き役に回ります。すると、思いがけず勉強になる話しが聞けたりするのですよね。人の話しが良いヒントになって、素晴らしいアイディアがひらめいて、幸運の扉が開くこともあります。ですから、ご自分が話し下手だと悩んでいるなら、今日からはもう、それをコンプレックスにするのはやめて、「聞き上手」になりましょう。

たとえあなたがすごい話し下手だとしても、相手の話しに楽しそうにあいづちを打ったり、ときには身を乗り出して聴いたり、ときどき、質問を投げかけたりはできるはず。相手が悲しんだり悩んでいるときは、優しく受けとめ、慰めてあげることもできるでしょう。テレビの司会者のようなインタビューの技術がなくても大丈夫。一番大切なのは、相手の話しに心から耳を傾けようという姿勢なんですね。これさえあれば、自然に聞き上手になれて、相手はまたあなたとオシャベリしたいと思うはずですよ。そして、聞き上手になることで、いろいろな人の話しを聞くチャンスも増え、いつの間にかそれが「話し方」の学習にもります。気づいたら、自分自身が以前よりずっと話し上手になっていたということも夢ではありませんよ。

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