Stone061024_2 これまでお話ししてきた「プロローグ」と「石の浄化」を通して、私は石を単に「石たち」と総称してきました。でも実は、石たちにはいろいろな横顔があって、その分類や名称はなかなか奥深いものがあり、中には語彙の混乱も見られます。したがって、個々の石を訪ねる旅に出る前に、石たちの横顔、すなわちその属性を整理しておきましょう。

たぶん、「石」と言った場合、その組成は「鉱物」であるということは誰もが知っている常識でしょう。でもここに「貴石」、「半貴石」、あるいは「ジェム」、「ジュエル」といった言葉が出てきたり、はたまた「カラーストーン」、「パワーストーン」、「ヒーリングストーン」などという言葉に出会うと、つい迷ってしまいます。つまり、これらの名称はどういう相関関係にあり、それぞれの言葉の定義はどうなっているのかという、疑問に突き当たるはずなのです。

石たちをその組成で分類すると4,000以上の鉱物に分けられるとされていますが、その鉱物の中に特に「宝石」と呼ばれる石があります。でも、どの鉱物が宝石で、どの鉱物がそうではないかといった分類は明確ではなく、人によってまちまちな解説がなされています。

では、道端にころがっている石と宝石とを分ける違いは何を基準にしているのでしょうか。まず「宝石」と呼べる条件は「見るからに美しいこと」、「めったに見つけられない希少性があること」、「簡単に崩れることのない硬さがあること」の3条件が備わっていることだと定義されています。

ところが、この「宝石」も「貴石」と「半貴石」に分かれます。英語でも「貴石」は「貴重な」という意味を持つ「precious 」という言葉が用いられ「precious stone」と言われており、「半貴石」はその言葉の通り「semiprecious stone」と表現されています。では、「貴石」と「半貴石」の違いは何でしょう? 「貴石」は前述の3条件、つまり「美しさ」、「希少性」、「高硬度」がすべて揃った宝石を指し、ダイヤモンド、サファイヤ、ルビー、エメラルド、アレキサンドライトなどがそれに当たります。したがって、「貴石」とは、宝石の中の宝石ということですね。

では、「半貴石」というのはどんな宝石でしょうか。これは、前述の3条件のいずれかが欠けるもの、「美しく硬度も十分だが、比較的手に入りやすい」という石が「半貴石」に当たります。具体的には、アメシスト、アクアマリン、シトリン、トパーズなどです。でも、「貴石」と「半貴石」を分けることに異論を唱える人もいます。その理由は、貴石と同等かそれ以上に前記3条件を満たしている半貴石もあるということなのです。でも、どんなルールにも例外はあるわけですから、それをもって伝統的に分類された「貴石」と「半貴石」を否定する必要はないと私は思います。

ただし、留意したいのは、宝石の組成は鉱物というのがひとつの常識ですが、「琥珀」や「珊瑚」「真珠」「ジェット」といった有機起源のものも宝石として、扱われていることです。

さらに、ここでもうひとつ言葉の概念を整理しておきましょう。それは、カタカナ語である「ジュエル(jewel)」と「ジェム(gem)」の違いです。「ジュエル」は通常ダイヤモンドやルビーなどの「precious stone(貴石)」を指して使われ、「ジェム」はヒスイやざくろ石などの「semiprecious stone(半貴石)」に使われます。

ちなみに、「ジュエリー(jewelry)」というカタカナ語も頻繁に使われますが、これは「貴石」「半貴石」という概念から少し遊離して「宝石類」とか「装身具」と言ったより広範な意味を持って使われています。ついでに確認しておきますと、「宝石商」は「人」の場合は「jeweler」で、「お店」の場合は「jeweler’s shop」、「宝石箱」は「jewel box(case)」ですね。

さあ、これでかなり用語の整理ができてきました。でも、問題はこの連載の主題である「パワーストーン」という言葉の概念です。これについては、次回お話ししましょう。