私がつけたこの連載のタイトルは「親愛なる石たち」なのですが、女性自身の編集部は、さらに「結城モイラのパワーストーンワールド」というキャッチフレーズをつけてくださいました。このキャッチフレーズがついたことで、この連載のテーマがパワーストーンであることがはっきり分かり、さすがプロの編集者さん、と感心しました。

ところが、この「パワーストーン」という名称、なかなかクセ者なのですよね。実は10年ほど前まで、日本では「カラーストーン」という言い方が一般的であったのです。ところが、1997年ごろから「パワーストーン」なる言葉が使われ始め、今日では「パワーストーン」と言えば、ほとんどの人が何の説明もなしに会話が成り立つほど、ポピュラーになっています。つまり、和製英語なんですね。

その事実を確かめるために、「powerstone」または「power stone」というスペルで英語辞書や米国のインターネットサイトを検索してみましょう。おそらく該当する項目は検索されないはず。ちなみに、アメリカのサイトで検索ヒットされるのは「power stone」という人気PCゲームのサイトばかりです。したがって、米国で「power stone」と言えばPCの3Dゲームを、一般の人は思い浮かべるのでしょう。

では、「パワーストーン」という言葉がどのようにして生まれたのでしょうか。これは私の推測ですが、「stone power (ストーン・パワー)」という言葉はもともと英語で使われていましたから、これが倒置法よろしく「パワーストーン」に化けたのだろうと思われます。ストーン・パワーは「石のパワー」という意味ですが、パワーストーンとなると「パワーのある石」という意味合いが強く感じられます。和製英語にして、その本質を見事に表現した新語ですから、今日の言葉のグローバル化の中で、やがて世界語として認知される可能性もありますね。

では、「パワーストーン」に近い英語はないのかと言えば、「ヒーリングストーン(healing stone)」という言葉がほぼ同義語として使われています。「癒す力を持つ石」とでも訳せばよいでしょうか。このことからも、石には人を癒すパワーがることを認め、その恩恵に浴そうとする人間の願望がそうした表現の言葉を生んだことは共通したプロセスでしょう。

一方、前回お話しした「鉱物」や「宝石」、その中の「貴石」や「半貴石」と「パワーストーン」はどう対応した言葉なのでしょうか。この定義も現状では曖昧模糊としています。人によってまちまちの解説がなされています。でも、頭の中を整理しておきましょう。前回の鉱物の分類は、主としてその石が持つ組成によって分けられたものですが、「パワーストーン」という概念は広い意味では「すべての石」が対象となります。でも、一般的な意味では「貴石」と「半貴石」を指しています。

Stone_061031 数的な捉え方としては、鉱物約4,000種類のうちパワーストーンとして取り上げられる石たちは約300種類程度です。でも、多くのパワーストーン解説書に登場するパワーストーンは100種類ほどですから、そう多くの石たちを知らなくても、実用的には十分です。実際問題として、あなたが心を通わせることになる石たちは、多くても10種類前後、少ない場合は1~2種類でしょう。要は、いろいろな種類の石を揃えていろいろな願いをかけるという態度より、ほどよい数の石たちと親密になって、より深い心の交流ができることの方が大切なのです。