Stone_070226 「ラピスラズリ」というと、ある年齢以上の方にとっては何か懐かしさを持った言葉として響くのではないでしょうか? 私もよく憶えていますが、今から25、6年前でしょうか、ラピスラズリの一大ブームがありました。ラピスラズリは願い事を叶えてくれる万能の石として、それこそ子供から大人まで夢中になったものです。シンガーソングライターのイルカさんの歌にも「ラピスの丘で」という、とてもきれいな曲がありますが、おそらくそうした時代の反映でしょう。

これほど有名になったラピスラズリですから、この石については、すでにもう語り尽くすくらい多くのことが語られています。今更、目新しいことは何もないないかもしれませんが、改めてラピスラズリの魅力を見直してみましょう。まずは、「ラピスラズリ」という名称ですが、これはペルシャ語の「青色」という意味の「lazward」と「石」という意味の「lapis」からきており、もともと「青い石」ということなのですよね。そのため、「ラピス」と「ラズリ」の間に中黒を入れた「ラピス・ラズリ」と表記される場合もあります。この石を鉱物学的な側面から言えば、「ラズライト(lazurite)」=「青金石」という名称がついています。つまり、「ラピスラズリ」はこのラズライトの宝石名なのです。

写真でもお分かりのように、ラピスラズリは何とも言えない神々しいブルーの色が特徴です。石によってはカルサイト(方解石)やパイライト(黄鉄鉱)といった白や金色のインクルージョンを持ち、宗教的な荘厳さまで醸し出しているものもあります。実際、ヨーロッパではラピスラズリは「聖母マリアの石」とも言われているのです。

さらに歴史をたどれば、古代エジプトではファラオに贈る石と言われるほど珍重されていて、ラピスラズリを砕いた絵の具で描かれた壁画や調度品も数多く見られます。女性のお化粧の顔料として、また、眼病や頭痛、鬱病の薬としても服用したり、塗布していたようです。衣服等の染料としても用いられ、私はラピスラズリで染めた、19世紀ヨーロッパの貴婦人のドレスを博物館で見たことがあります。それがなんと、長い年月を経たアンティークドレスとは思えないほど、色あせもせずに美しいブルーに輝いていたのです。館長さんのお話によると、ラピスラズリで染めた物は、色が褪せないのだとか。私はそのドレスにラピスラズリの不思議なパワーが宿っているような気がして、感動で胸がいっぱいになりました。

では、次回にこの続きをお話ししましょう。