Stone_070319英語名では「Tiger’s eye」ということから日本語のカタカナ名は「タイガーズアイ」とか「タイガースアイ」、「タイガー・アイ」などさまざまな表記が氾濫していますが、ここでは「タイガーアイ」と呼ぶことにしましょう。もちろん和名としては英名と同じ意味をもつ「虎目石」という名称がつけられています。

この石の特徴はなんと言っても虎の目のような神秘的な輝きがあることですが、原石のままではそのような様子は見られません。原石を研磨して、丸玉やドーム状のカボションカットに仕上げると、いわゆるキャッツアイ効果が現れ、はじめて虎の目のように見えるのです。この効果は専門的には「シャトヤンシー(chatoyancy)」といわれる光の特殊な反射によるものですが、その起因はこの石の結晶の中に平行に配列された、針状のインクルージョン(内包物)によります。

もう少し鉱物学的な側面をお話ししますと、この石は青石綿(あおいしわた)という繊維状の鉱物に水晶の成分と同じクォーツ(石英)が浸み込んで硬化し、それが酸化して茶褐色になったものです。一般的に、タイガーアイにもいろいろな色があると言われますが、この石は酸化が起こる以前は、青灰色を帯びています。したがって、この状態の石はタイガーアイとは呼ばず、「ホークアイ(鷹目石)」と言います。また、通常のタイガーアイをさらに、人工的に加熱し酸化を進めると色が赤褐色となり、これは「レッドタイガーアイ(赤虎目石)」と呼んでいます。

私がこの石にはじめて出会ったのは、私がまだ10代の頃、仕事でアメリカに滞在していた従兄弟がお土産として、タイガーアイのルースをプレゼントしてくれたのが最初です。従兄弟はそのルースでペンダントでもつくるといいと考えたようですが、その色合いが当時の私にはちょっと地味な気がして、私は正直あまりありがたいとは思えませんでした。それからもう数十年経ちますが、最近、そのルースが気になり始めて、ときどき小引き出しから取り出しては手のひらに乗せたり、眺めたりするようになりました。

「私がタイガーアイに興味を抱き始めたのはどういう暗示なのかしら?」と心に訊ねながら、私に起こるであろう変化を、ここのところ見守り続けています。その中でひとつはっきりしてきたことがあります。「遠くを見る力」が増してきたことです。それは目で見える遠くのものという意味ではありません。ものごとの成り行きが今まで以上に良く見えるようになってきたのです。それを「洞察力」と表現される方もいますが、私の感覚ではそれほど大げさなことではなく、自然によく見えるという感じなのですよね。そのお陰もあるのでしょうか、先が見えない不安とか焦りといったストレスから開放され、いつも平常心でいられるようになりました。