Stone_070430「ジェイド」と聞くと、何の石だろうと思われるかも知れませんが、これは「翡翠(ひすい)」のことです。カタカナ表記では「ジェード」と記されているものも多いようですが、英語のスペルは「Jade」ですから「ジェイド」の方が実際の発音に近いと思います。ま、この問題はさておき、ジェイドの鉱物学的側面を見てみますと、ジェイドは「ジェダイト(Jadeite)」と「ネフライト(nephrite)」という石に分類されます。「ジェダイト」は「翡翠硬玉(ひすいこうぎょく)」を指し、「ネフライト」は「翡翠軟玉(ひすいなんぎょく)」を指します。

つまり、一口で「ヒスイ」と言っても、石の硬さ(モース硬度)によって名称まで異なる石として扱われています。ちなみに、その硬さの差というのはモース硬度で示しますと、「ジェタイト」が6.5~7、「ネフライト」が6~6.5とされています。この数値ですと、実際問題それほど大きな差があるとはいえませんね。それもそのはず、1863年以前までは両者の区別はつけられていなかったそうです。

でも、比べると硬度が少し高い「ジェタイト」のほうは「本ヒスイ」とも呼ばれ、宝石としての価値も高いもの。中でも翠(みどり)色をした美しいエメラルドグリーンの石は大変珍重されています。日本ではこの「ジェタイト」の産出は古く、縄文時代の遺跡や古墳時代の古墳からも「勾玉(まがたま)」として出土されています。ご存じのとおり、「勾玉」は装身具であると同時にお守りとして身につけられていたものです。まさに「ジェイド=ヒスイ」はその昔からこの日本でもパワーストーンとして認識されていたのです。

一方、中国では「ネフライト」が中心であったようですが、「ジェイド」は「玉(ぎょく)」と呼ばれ、天子の石として古代から様々な儀式の礼器に用いられたり、日本と同様にお守りとしても大切にされてきました。特に注目すべきは、古代中国の死者の埋葬には、死体の目、鼻、耳、肛門などに「玉(ぎょく)」を詰めるという習慣がありました。これは、「玉=ジェイド=ヒスイ」には生命の再生をもたらすと信じられ、死体は朽ちないと考えられていたためということです。

さらに、「ジェイド」の足跡は、古代中央アメリカのアステカ人の文明の中に見られるとともに、この地を侵略したスペイン人を通して、ヨーロッパ各地にも広がったとされています。いずれも、「護符」としての効用が尊ばれ、それが今日まで脈々と受け継がれてきたといえます。

次回は、「ジェイド」のパワーストーンとしての側面をご紹介しましょう。