Stone_070528ラブラドライトには、一部熱狂的なファンがいると言われるほど、一種独特の存在感が漂っています。一見地味な青味がかったグレーの石ですが、まるで孔雀の羽を思わせるような虹色の光が浮かびあがります。それだけでなく、この石には遠い宇宙からのメッセージが託されているという言い伝えもあるのです。これらのことがファンの気持ちを惹きつけて離さないのでしょう。

さて、そのへんのお話は後述するとして、まずはこの石の鉱物学的な側面を知っておきましょう。この石は、すでに何回かお話してきました「フェルドスパー(Peldspars)」と言われる「長石(ちょうせき)」の仲間で、あのムーンストーンやサンストーンとも親戚関係にあります。「ラブラドライト(Labradorite)」という名前は、この石がはじめて発見されたカナダの「ラブラドール」という地名にちなんだそうです。発見は1770年、モラビア教(絶対平和主義のプロテスタントの1宗派)の宣教師によってなされました。ちなみに、和名は「曹灰長石(そうかいちょうせき)」と言います。

きっとラブラドライトを最初に発見したモラビア教の宣教師たちは、なんと美しい石だろうと固唾をのんで見入ったことでしょう。でも、この石が放つ神秘的な虹色の光の正体は、実は、この石が持つ薄い層状組織の境界面からの反射光なのです。なぜ、そのような光の反射が起こるのかと言えば、この石が生成されたプロセスに起因があります。

多くの鉱石と同様に、ラブラドライトも最初は地中の高温下で均質な結晶として生成されますが、やがて冷却される過程で一部の元素の移動が起こり、組織の異なる長石の層ができあがります。またさらに、この石にはマグネタイト(Magnetite)という混合物(インクルージョン)が内包されており、光の反射を起します。つまりラブラドライトは組織の異なる層による光の分散と内包物による光の反射という複雑な光の干渉効果によって、独特の虹色を発色させているのです。

一方、ラブラドルライトは別名を「スペクトロライト(Spectrolite)」というとしばしば解説されていますが、これはすべてのラブラドライトを指すものではありません。フィンランドで産出されるきわめて上質の石にのみ命名されている名称で、「スペクトロライト」はその名のとおり、光を虹色に分散反射してくれる「分光石」として特別に認識されています。

では、いよいよ「ラブラドライト」のパワーストーンとしての側面についておお話を進めますが、何を隠そうこの私も、ラブラドライトのブレスレットを数年前から大切にしている一人です。ブレスレットとの出会い、そしてその後の体験などをまじえて次回、お話しましょう。