Stone_070621アンバー(Amber)、それは「琥珀(こはく)」のことです。本稿の最初のほうの「石たちの横顔1」の中ですでにお話ししましたが、宝石やパワーストーンといった石たちの組成は鉱物というのが常識です。でも、有機起源をもつ「珊瑚」や「真珠」、「ジェット」、「琥珀」も便宜上鉱物と同様の扱いを受けています。ただし、こだわる人は「オーガニック・ジェム」と呼んで一定の区別をしています。

さて、「琥珀」という名前だけは私たち日本人にも大変なじみ深いものとなっていますが、琥珀とは一体どういうものなのでしょうか? 簡単に言いますと、「樹木のヤニ」が化石化したものです。どのような種類の樹木かというと、これには諸説があり、太古の杉科の針葉樹とかマメ科の広葉樹の樹脂が化石化したという見解と、松のヤニが化石化したという見解があるようです。ヴァイオリンの弓が弦を程よく震動させるために使われている松ヤニの固まりを見ると、いかにも「琥珀」を連想し、松ヤニが化石化したものと思いたくなりますね。

ではここでちょっと質問ですが、この樹脂が化石化するのに要した歳月はどのくらいとお思いですか? それがなんと、1,000~6,000万年という気の遠くなるような時間の世界なのです。ですから当然、琥珀は人類の歴史をはるかに超える太古の時代の産物です。人類と琥珀との出会いに関しては、ギリシア神話に出てきますが、それだけではなく、紀元前2,000年ごろには、シルクロードならぬ古代ヨーロッパの「アンバールート」という交易ルートがあったとも言われています。当時のヨーロッパ人がいかに琥珀の虜になっていたかがうかがえますね。

琥珀の産地はというと、バルト海沿岸地方がそのトップ位置を占めています。前述の「アンバールート」を今もなお誇るように世界の琥珀の90%を産出するとのことです。あとは、ドミニカ共和国、ミャンマー、イタリア(シチリア島)、中国の撫順地方、日本でも岩手県の久慈地方で産出されています。

ところで、琥珀には虫などのインクルージョンが入っているものがありますが、これは樹脂が地上にあるときに、そこへたまたま飛んできた、あるいは足を踏み入れた昆虫類がヤニに足をとられそのままヤニに覆われてしまったものです。一般に、宝石類はインクルージョンのないものが価値が高いとされています。でも、琥珀の場合ば逆にこうしたインクルージョンがあったほうが希少性が高く、価値も高いのです。

あと面白い話ですが、琥珀は海からとれるという事実をご存じですか? このお話をしますと、琥珀という化石の姿がより鮮明に理解できるようになると思います。でも、今回はここで一息入れて、次回に「海からとれる琥珀」の物語をお話しすることにしましょう。