トルマリンの和名は「電気石」、これを「でんきいし」とひらがなをつけている解説書もあるのですが、「でんきせき」が正しい呼び名です。しかし、英名「トルマリン」がどうして「電気石」という和名になったのでしょうか? それを知るためには英名「トルマリン(Tourmaline)」の語源を確かめる必要があります。ものの本にはいくつかの説があるのですが、信頼に足ると思われる一説では、「宝石の砂レキ」を意味するスリランカのシンハラ族の言葉「Turamali」に由来するとされています。でも、他の説でも「電気石」と結びつくような名称上の関連性は見つかりません。ということは、「電気石」という呼び名は古来から日本人が独自に付けていた名前で、「トルマリン」という外来の名称に影響されなかったという歴史を感じさせますね。

では、この「電気石」という名称はどこからきたのでしょうか? これがなんと、この石固有の鉱物的特徴を端的に表現しているのです。実は、この石は圧力を加えたり張力を加えたりすると、そこに生じる結晶の歪みの度合いに比例して静電気を発する「誘電体結晶」と呼ばれる鉱物のひとつなのです。つまり、日本人はこの石の不思議なパワーに古くから気づいていて、「電気石」なる独自の名称をつけていたのですよね。

さて、前回に、トルマリンは宝石的な価値から見るとピンからキリとお話ししました。ここで、トルマリンの全体像をわかりやすくするために、宝石的価値のランク付けから、それぞれのトルマリンの横顔を見てみましょう。

まずは、五つ星に輝く「パライバルトルマリン」。これは1989年にブラジルのパライバ州で発見されたばかりの石ですが、人呼んで「ネオンブルー」と形容される独特の美しさによって、あっという間に世界的な人気を獲得。供給が需要に追いつかない状況に陥り、今や幻の石とも言われはじめています。パライバトルマリンは現在、ルビー、サファイア、エメラルド、アレキサンドライトと同等か、ものによってはそれらを凌ぐ評価がされています。1カラット当たりの価格が4~5百万円もすると言われていますから、驚きですね。

次は、4つ星にランクされる「インディコライトブルートルマリン」。五つ星の「パライバルトルマリン」には及ばずとも、ブルーサファイアを思わせる深い青色が魅力のブルー系トルマリンです。評価は青色が深ければ深いほど高く、黒ずみが入ると評価は落ちます。これに石の透明感と輝きが評価に加味されます。

Stone_070730次は三つ星にランクされる「ルベライトトルマリン」(写真)。一見するとルビーのような赤い色をした石。かつては、ルビーの代用石として使われていた歴史があるそうですから、「ルベライト」の色が「ルビーレッド」と言われるのも合点がいきますね。ちなみに、「ルベライト」の語源はラテン語の「赤」を意味する語に由来しています。

では、次回は二つ星、一つ星、星なしランクの「トルマリン」をご紹介しながら、徐々にパワーストーンの世界に入っていきましょう。