Stone_070917フローライトは和名を「蛍石(ほたるいし)」と言います。色は黄色、青、ピンク、紫、緑などいろいろありますが、中には一つの結晶に異なった色が帯状に縞模様をつくっているものもあります。紫、白、黄色の縞模様を持つフローライトは特に有名で「ブルージョン」と言われ、ローマ時代から壺や装身具などに利用されてきました。このように、フローライトは色も豊富で、とても美しい石です。でも、残念ながら硬度が低いという弱点があります。そのため、高級な宝石としては向いていない石と言われています。ちなみに水晶の硬度が7であるのに対し、フローライトは硬度4なのです。

ではいったい、フローライトはどのような組成の鉱物なのでしょうか。この石は、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素と言ったハロゲン元素と金属元素が結びついた「ハロゲン化鉱物」のひとつで、カルシウムとフッ素が結合した「カルシウムのフッ化物」です。
こうお話しすると、なんだか小難しく感じるかもしれませんが、面白いことに、この石は、私たちの日常生活の中でも盛んに活用されているのです。皆様よくご存知のテフロン加工のフライパンやアイロン。その表面にはフッ素が使われているのですが、フローライトはそのフッ素の原料なのです。

ところで、最初の「蛍石(ほたるいし)」という和名に話しを戻しましょう。「蛍」という名前がついたのは、それだけの理由があるのですよね。実はこの石は、火の中に投じたり、暗闇で紫外線(ブラックライト)を当てると神秘的な可視光を発散するのです。これを「蛍光現象」と言いますが、虫の「ほたる」のあの幻想的な光と相通ずるものがあるというわけです。

では、英名の「フローライト(Fluorite)」はどうなのでしょう。これは「流れる」という意味のラテン語「fluere」で、「蛍光」という意味はまったく含まれていない名称です。ところが興味深いことに、「蛍光現象」のことを「フローレッセンス」と言います。この「フローレッセンス」という言葉、元をたどると、「フローライト」という名称から来ているのですから、「タマゴが先か、ニワトリが先か」のような話ですね。

この事情を解くカギは「フローライトが蛍光を発する」という現象がいつごろ発見されたかにあります。調べてみると、その発見はかなり年代が経ってからのことだということがわかりました。1824年、ドイツの鉱物学者フリードリッヒ・モースによって発見されたそうです。ですから当然、「フローライト」はその発見以前からの名称、「蛍石」はそれよりずっと後につけられた名称という時系列が成り立ちますね。余談ですが、フローライトの蛍光性を発見したフリードリッヒ・モースは鉱物の硬度を表すモース硬度の考案者なのです。

もうひとつ、「フローライト」の鉱物学的側面をご紹介しましょう。この石の硬度は4という柔らかさと同時に、硬いもので叩くと、一定の角度で割れやすい性質をもっています。これを専門的には「劈開(へきかい)」と呼んでいます。「フローライト」の場合は二つのピラミッドの底を貼り合わせたような正八面体に割れるのです。パワーストーンのお店などで正八面体の「フローライト」をよく見かけるのはこのためです。

では、次回に「フローライト」のパワーストーンとしての効能を詳しくお話ししましょう。

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