「タンザナイト(Tanzanite)」という石の名をご存知ですか? 今はかなり有名になっている名称ですが、実は、この石の本名は別にあります。鉱物名は「ゾイサイト(Zoisite)」、和名を「ゆうれん石」と言うのです。ところが、1967年にアフリカのタンザニアで同じ「ゾイサイト」でありながら、なんとも美しい透明感のあるブルーの石が発見されました。それをきっかけに、ティファニー社が、この石に産出国名を冠した「タンザナイト」という商品名をつけたというわけです。したがって、「タンザナイト」と言った場合は、本来の「ゾイサイト」を指しているのではなく、宝石市場における限られた「ゾイサイト」を意味しています。でも、はじめにお話ししたように、今では「タンザナイト」という名のほうが有名になってしまいました。ですからここでは「タンザナイト」のタイトルの基に、「ゾイサイト」全般に関係したお話をすることにしましょう。

Stone_071001私がはじめて「タンザナイト」に出会ったのは、今から20年近く前のこと。ティファニー社のお仕事でいくつかのジュエリーを身につけて、宝石のパワーについてお話しするというものでした。その中の1点に「タンザナイト」をメインにアレンジしたネックレスがありました。正確な数字は憶えていないのですが、千万単位のお値段でした。そのとき「タンザナイトという宝石はなんと美しく、高価なんだろう!」という印象だけが、私の脳裏にインプットされたのです。この原稿を書くに当たって、「相変わらずお高いのかしら?」と思い、調べてみましたら、タンザナイトは現在でもやはり高価な宝石でした。リングに使えるほどのカット石のルースでも、ひとつ数百万円もするものがざらに流通しているのです。

宝石としての「タンザナイト」にご興味をお持ちになられた方のために、もう少し説明を加えますと、「タンザナイト」の特徴は「多色性」にあります。「多色性」とは光の種類や照射角度によって微妙な発色を示す性質で、「タンザナイト」の場合は白熱球の下では紫色になり、蛍光灯の下では青色に変化します。よく、「ブルーゾイサイト」が「タンザナイト」であると言われますが、光源の違いによって色の変化が起こらない「ブルーゾイサイト」はあくまでも「青色をしたゾイサイト」。タンザニア産の「タンザナイト」とは言えない石なのです。

さて、パワーストーンとして見た場合は、「タンザナイト」を含む「ゾイサイト」が対象となりますが、色は透明な青以外にも、グレー、淡い褐色、グリーン、ピンクなどがあり、産地もタンザニア以外にノルウェー、ジンバブェ、アメリカ、オーストラリアなどが挙げられます。なにしろ古代ケルト民族の間では大変なパワーを持つスピリチュアル・ストーンとして扱われていたようですから、パワーストーンとしての歴史も古く、興味も尽きません。

では、次回に「タンザナイト」を含む「ゾイサイト」のパワーストーンとしての効用を詳しくお話ししましょう。