今回からは「アマゾナイト」についてお話ししましょう。「アマゾナイト(Amazonite)」という名称を聞くと、私は真っ先に、この名称にまつわる面白い話が頭に浮かんでしまいます。でも、その話はちょっと後でということにして、まずは鉱物としての「アマゾナイト」を見てみましょう。この石が属している鉱物は「ケイ酸塩鉱物」の中の「マイクロクリン(microcline)」(微斜長石・びしゃちょうせき)というもので、「マイクロクリン」そのものは、白、淡黄色、ピンク、赤、緑といった様々な色があります。そのなかで、緑色をした石を「アマゾナイト」と呼んでいるのです。

Stone_071029この「アマゾナイト」の美しい緑色は石に含まれる微量の鉛(Pb)によるもので、その含有量によって空色のような明るいものもあれば、「青緑」といわれる青みがかった緑色もあります。ジュエリー品質の「アマゾナイト」としては、濃い緑のものが好まれており、ロシアのウラル山脈から産出される「アマゾナイト」が有名です。これを特に「ロシアンアマゾナイト」と呼んでいます。ただ、濃い緑のものは「アマゾン・ジェイド」という別名かあるほど「翡翠(ひすい)」と間違えられやすい石です。また、明るい空色のものは「ターコイズ(トルコ石)」とよく似ていますので注意が必要ですね。

では、名称にまつわるお話をいたしましょう。「アマゾナイト」と聞けば、あの有名な「アマゾン川」を連想し、「きっとアマゾン川流域から産出される石だろう」と推測しますよね。多くの解説書やネットの情報でも「名前はアマゾン川に由来する」と明記しています。ところが、この石はアマゾン川やその流域からは産出されていないのです。ではいったい、どういう経緯から「アマゾナイト」の名前が生まれたのでしょう。

実はここからは諸説あり、どれが正しいのか真実は藪の中というのが現状です。「石の色がアマゾン川の色に似ている」、「その昔はアマゾン川流域で採掘されていた」、「その昔、アマゾナイトと呼ばれる別のよく似た石がアマゾン川流域から採掘されていた」、等々。私は何の根拠もないのですが、「アマゾナイトと呼ばれるよく似た石が……」という説が、なんとなく正しい気がします。

そもそも「アマゾン」という川の名前の由来なのですが、例の「アマゾネス」伝説と関係があるという説があるのです。ご存知のように、「アマゾネス」伝説はもともとギリシャ神話に登場する女戦士たちの物語です。ところが、ブラジルの伝承の中にも、アマゾナスという女戦士たちが、ペルーの征服者ピサロの軍団と戦ったという記録があるのです。そして、このインディオ語の「amazonas」の「a」は英語の「without(ない)」という意味で、「mazonas」は英語の「breasts(乳房)」だとのこと。すなわち、「アマゾン」が「乳房がない」という意味になり、これはまさにギリシャ神話に出てくる、片方の乳房を切り落とした女戦士(アマゾネス)たちとそっくりですよね。紀元前1世紀のギリシャ神話が、何故、14世紀の南米の地に実話として存在したのか、興味がつきない話でしょう?

ところで、「アマゾナイト」には、「希望の石」という別名があり、パワーストーンとして大変重要な役割を担っています。そのことは、次回に詳しくお話しましよう。