この石は「マラカイト(malachite)」と言うより、和名の「孔雀石(くじゃくせき・くじゃくいし)」と言う方がご存知の方も多いかもしれません。「孔雀石」という名称の由来は、石の模様が孔雀の羽根に似ているからだとか。では欧名の「マラカイト(malachite)」はと言うと、石の色がアオイ科に属する「ゼニアオイ」という植物の色と似ていること。その「ゼニアオイ」のギリシャ名が「malache」であるからということだそうです。

それでは、「マラカイト(malachite)」とはどういう石か、お話ししましょう。この石は金属の「銅」を含む比較的柔らかいモース硬度3.5~4の鉱物で、写真のような美しい緑色をしています。通常、硬度7以上の石を宝石とする定義からすれば、宝石としてより装飾品、顔料、釉薬あるいはパワーストーンとして珍重されていると言えます。でも歴史的に見ると、マラカイトには大変な歴史があり、人類の歴史の中でももっとも重要な鉱物の一つとして数えられています。

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なぜならば、紀元前4,000年頃にはすでに、マラカイトを火であぶると「金属銅」ができるということを人類は発見。これが鉱物から金属を精錬した最初とも言われています。一方、紀元前3,000年頃のエジプトでは、マラカイトを砕いて化粧品として使ったり、壁画などを描く絵の具の顔料に使用していました。今に語り伝えられる絶世の美女「クレオパトラ」も、この石を粉末にしてつくったアイシャドーで目元を飾っていたというのです。目の縁に「マラカイト」の顔料を塗った理由には、お化粧という要素と同時に、眼の病気を防ぐといった薬用説もあります。でも、私が注目したいのは、今日のパワーストーンと同様の効能をマラカイトに託したという説があることです。これは次回にお話ししますね。

さて、このようなマラカイトですが、鉱物的側面をもう少し詳しく知っておきましょう。まず、どんな所で産出されるのかと言うと、銅の鉱床近くの変質帯あるいは酸化帯といわれる地殻から、藍銅鉱、赤銅鉱といった銅を含む鉱物とともに発見されます。ですから、逆に言えばマラカイトが発見されたら、銅の鉱床が近くにあるという重要な指標ともなるのですよね。

地中から産出されたマラカイトは針状の結晶の場合もありますが、多くは顕微鏡下でしか識別できないような微結晶の塊状で、その内部は縞目の模様を伴っています。その内部構造は微妙な色彩のコントラストを持つ層状組織であったり、同心円状の構造を持つ鍾乳石であったりします。「マラカイト」を特徴づける緑の色は組成成分である銅に起因しますが、同じ緑でも青っぽい緑のもの、あるいは不純物が混入した褐色や黒といったものもあります。

では、鉱物としての「マラカイト」はこのくらいにして、次回に「マラカイト」のパワーストーンとしての魅力についてお話ししましょう。