現在のところ世界中で発見されている鉱物は約4,000種類あると本稿の最初でふれました。当然、新しい鉱物の発見は今日でも続いていて、年間にして30種類以上が登録されているそうです。余談になりますが、新しい鉱物を発見し、それを世間で認めてもらうにはどうしたら良いか、少しお話ししておきましょう。鉱物学の世界では「国際鉱物学連合」(IMA=International Mineralogical Association)という組織の中に「新鉱物・鉱物名委員会」(CNMMN=Commission on New Minerals and Mireral Names)という審査機関があり、この委員会で承認される必要があります。新鉱物の承認申請に必要な諸手続きの詳細は私にはわかりません。でも、提出する鉱物のデータは科学的性質からはじまって物理的性質、光学的性質、結晶学的性質、それに申請名称といったものだそうです。

Stone_080103_2なぜ今回、新鉱物の申請に関するお話を最初にしたのかと言いますと、この「チャロアイト」という鉱物が国際的に承認されたのが、今からわずか30年前の1978年だからです。でも、実は、この石はさらに約30年前の1949年にシベリアで発見されていたのです。ただし、当時の鉱物学者たちは、この石をすでに知られていた鉱物(角閃石・かくせんせき)の一種だと判断していました。ところが、ベーラ・ロゴワというロシアの女性鉱物学者の直感と熱心な研究によって、この石が全く新しい鉱物であることが突き止められたのです。そして、1978年に晴れて新鉱物「チャロアイト(Charite)」が誕生したという訳です。

しかも、この新鉱物申請にからんではこんな逸話もあります。なんとベーラ・ロゴワ女史が研究に励んでいた「チャロアイト」のサンプルがアメリカ人の手に渡ってしまったのです。そして、その石が分析され、女史よりも先に新鉱物申請のデータができあがるという事態になりました。その話を聞いた女史が急いで申請手続きとったために、「チャロアイト」命名者の名を歴史に残すことができたとのことです。鉱物の世界でも、まるで企業競争さながらの競争があり、それが原動力になって進歩発展するものなのですね。

さて、「チャロアイト」という名前の由来ですが、これには2説あるようです。ひとつはこの石が採掘されるシベリアのアルダン地区の近くには「チャラ川(Chara River)」という川があることから、その名前を冠したのだという説です。もうひとつは、ロシア語で「Charo」というのは「魅惑する」という意味で、「チャロアイト」の美しい石の表情を見た女史が「なんと魅惑的な石でしょう!」と感嘆。それをそのまま素直に命名したのだという説です。どちらも本当のようですから、2説あるのではではなく、両方の意味をかけている名称なのかもしれませんね。因みに和名は「チャロ石(ちゃろせき)」といいます。

では、次回は「チャロアイト」のパワーストーンとしての効用と魅力についてお話ししましょう。