Stone_080122まず、写真をご覧ください。これは「砂漠のバラ」というステキな名前をもつ「セレナイト」の変種結晶です。透明感のある本来の「セレナイト」のイメージからするとぜんぜん違う鉱物のようでしょう? でも、文献で化学組成を調べてみますと両者とも全く同じ化学式「CaSO4・2H2O」を示しています。では、どうしてこのような似ても似つかない結晶ができあがってしまったのでしょう。それには、砂漠という特別な環境が関係しています。

ご存知のように、乾燥した砂漠にも「オアシス」という水源が存在しますよね。「砂漠のバラ」はその「オアシス」の水がルーツなのです。「オアシス」が長い長い歳月をかけて干上がる過程で、「オアシス」の水に溶けこんでいたミネラル成分が少しずつ結晶をつくったのです。海水が蒸発した後に、塩の結晶ができるのと同じ原理です。でも、どうしてバラのような形が形成されたのかは、今もって論理的な説明がなされていないとのこと。鉱物学者のなかでさえ、何か超自然的な法則が秘められているのではないかと言う人があるようです。

また、この「砂漠のバラ」が出現する様はきわめて神秘的! きのうまで何もなかった砂漠の一角に、あるとき、こつ然と「砂漠のバラ」の群生が現れるのだそうです。砂漠特有の砂嵐によって、今まで隠されていた地層がひょっこり顔を出すことがあって、その際に、砂漠のバラも姿を見せるんですね。逆に言えば、この「砂漠のバラ」が見つかったところは、かつて「オアシス」が存在していたと言えるのです。

さて、「砂漠のバラ」の表面は砂糖菓子のように、砂で覆われています。ところが、この花びらを割って見ると、中はガラス質の「セレナイト」であることが分かります。一方、「セレナイト」にはさらに異なった結晶があり、菱形をした単結晶のもの、「サテンスパー」という名称で呼ばれる繊維状の結晶のもの、魚の尾のような形をした「魚尾状双晶(フィッシュテール・セレナイト)」などがあります。色についても、オレンジ系、ブラウン系、ブルー系、グリーン系といった特殊なものまであります。

ただし、知っておきたいのは、「セレナイト」は石とは言っても大変硬度の低い鉱物だということです。鉱物の硬さを表すモース硬度で言いますと、セレナイトは「硬度2」に当たります。ちなみに、鉱物の硬さを表すモース硬度は「1」から「10」までの段階が決められています。「1」は鉛筆で言えば「4B」に当たり、「2」はまさに「石膏」なのですが、「爪でキズをつけることができる」硬度です。では、「硬度10」を持つ石は何でしょう? もう、お分かりですね。最も硬い鉱物といわれる「ダイヤモンド」です。

したがって、「セレナイト」はある程度の硬度が必要となるジュエリーなどの装身具には向いてはいません。でも、パワーストーンとしての価値は非常に高く、スピリチュアルな効力を求める人にとっては大変魅力的な石と言えるのですよね。次回は、そうしたスピリチュアルな面をご紹介しましょう。