「トパーズ」は「黄玉(おうぎょく)」という和名を持つことからもわかるように、黄色の宝石というイメージがあります。でも実は、無色も含めブルー、グリーン、イエロー、ゴールド、レッド、ピンク、オレンジ、ブラウンなど、きわめて幅広いカラーバリエーションがあります。モース硬度も「8」ですから、かなり硬い石で、宝石としての条件も備わっています。ただし、トパーズを宝石品質という観点から見た場合、まったくの天然石か、それとも何らかの人為的なカラー調整がなされているかで、その価値には大きな差が生じます。

一般的に言われている評価順位としては、「レッドトパーズ」と言われる濃いピンクのトパーズを頂点に、オレンジ色をした「インペリアルトパーズ」(俗に「シェリーカラートパーズ」とも言う)、「ピンクトパーズ」、「イエロートパーズ」、「ブルートパーズ」の順となっています。ここで注意したいのは、比較的淡い色のトパーズは強い光にのもとに長時間置かれると、色が飛んでしまう褪色性の問題があることです。一方、濃いブルーのトパーズは、無色のトパーズにX線を照射したものが多いと言われています。さらに、アメシストを加熱してつくりだした黄色いシトリンを「シトリントパーズ」などと、紛らわしい名前で販売しているケースもあるとか。

080401では、ここで「トパーズ」という名前にまつわる面白いお話をしましょう。「トパーズ」の英語表記は「topaz」です。これはギリシア語の「探し求める」という意味の「topazos」に由来するそうです。ところが、この「topazos(トパジオス)」はアフリカ東北部とアラビア半島に挟まれた細長い湾、紅海に浮かぶ小さな島のことで、現在は「セント・ジョン島」と呼ばれています.実際、この島は常に霧に囲まれた状態で大昔の航海技術では容易にたどり着くことが困難であったとのこと。そのことから、「捜し求める(topazos)」という島の名前がつき、それが「topaz(トパーズ)」になったというのです。

ところが、この島では「トパーズ」は産出されず、代わりに「ペリドット」が大量に産出さています。これを裏付けるように古代の文献には「鉄のヤスリでトパーズを削ることができた」という記述があるそうですが、はじめにも言いましたように「トパーズ」は硬度8で大変硬い鉱物ですから、鉄のヤスリではとても削ることはできなかったはずです。つまり、この古い文献で言うところの「トパーズ」とは「ペリドット」のことであったろうというのが大方の見方となっています。したがって、島の名前の「トパジオス」が今日の「トパーズ」といつごろどうして結びついたかは謎とされています。

一方、こんな言い伝えもありますよ。昔、インドでは「トパーズ」は「火の石」と呼ばれていたそうです。確かに、オレンジ系の美しいトパーズを見ていると、「火の石」と呼ばれるにふさわしい神々しさがありますよね。ところがインドの古典言語であるサンスクリット語では「火」のことを「タパス(tapas)」と言い、それが「トパーズ」に変化したという説があるのです。

「トパーズ」は、このように名称そのものからして古い歴史のベールに包まれた神秘的な石です。古代エジプトの時代から人々に愛され、太陽神の象徴として護符にも用いられていたようです。次回は、「トパーズ」のパワーストーンとしての魅力をお話ししましょう。