ターコイズ(Turquoise)は和名を「トルコ石」と言いますから、「ああ、あの石ね」と、すぐにブルーの美しい石を思い浮かべる方が多いでしょう。でもこの石、「トルコ石」と呼んではいても、実はトルコで採掘される石ではないのです。古くは今日のイランであるメソポタミアで産出されていました。では、それがなぜトルコ石と呼ばれるようになったのでしょうか。この石がメソポタミアで採掘された後、当時交易が盛んであったトルコに集められ、トルコ人の隊商によって地中海沿岸の国々に運ばれていたためです。

ところで、英名の「ターコイズ」と和名の「トルコ石」の関係について、本論に入る前に言葉の整理をしておきましょう。まず、「トルコ」のことを英語で「Turkey(ターキー)」、「トルコの」という形容詞は「Turkish(ターキッシュ)」、「トルコ語」は「The Turkish(ザ・ターキッシュ)」、「トルコ人」は「Turk(ターク)」と言います。でも、これでは「トルコ」という音に結びつく単語が見当たりませんよね。そこで調べてみると、トルコ人の「Turk(ターク)」が「トゥルク」と発音されるケースがあることが分かりました。この「トゥルク」が変形して「トルコ」になったようです。これで、「ターコイズ」=「トルコ石」という関係が明快になりましたね。

Stone_080430では、「ターコイズ」とはどのような石なのでしょう。「ターコイズ・ブルー」という名前のついた色をご存知でしょう? それほどこの石は、まさにターコイズならではの美しいブルーカラーを持っています。でも、ターコイズはどれも澄み切った青空のようなブルーばかりではありません。この石には、青色から緑を帯びた色まで微妙なカラーレンジがあるのです。どうしてこのように微妙な色の違いが生じるのでしょうか。それには、ターコイズに含まれる「鉄」と「銅」の比率が関係しています。「銅」の含有量が多ければ空色に、逆に「鉄」の含有量が多ければ緑色にシフトするというわけなんですね。

ところで先程、ターコイズの産地が昔はイランであったというお話しをしました。ところが、いろいろな鉱物の書籍を読んでみましたが、現在のターコイズの産地としては「イラン」の名前が記されていないのです。「ペルシャのトルコ石」というのはどうやら遠い昔の話。今日ではアメリカのアリゾナ州にあるスリーピング・ビューティー鉱山から採れるターコイズが主流となっています。でも、石の美しさからすると、かつての「ペルシャのトルコ石」のほうが成分や色調が均質で、どれもみごとな空色であったと言われています。

現在主流となっているスリーピング・ビューティー鉱山から採れるターコイズの場合は、石が均質ではないために、80パーセントの石は何らかの人為的な処理が施されているとのこと。その代表的な処方は、この石の硬度が5~6とあまり硬い石ではないことから、強度を高めるために透明なエポキシ樹脂を染みこませています。また、均質な美しいブルーを実現させるために、天然の銅成分を染みこませているのです。天然石を良しとする人にとっては、いささか違和感を覚えるかもしれません。でも、今日では多かれ少なかれ、いろいろな石に人為的な処理がなされているのですよね。

では、次回はターコイズと人類との歴史的な関わりを検証しながら、パワーストーンとしての魅力をお伝えしましょう。