「ルビー」と言えば、ダイアモンドに次いで高価な赤く輝く石。誰もが知っている有名な宝石ですね。でもこの「ルビー」が「サファイア」と同じ成分からできている、言わば「サファイア」とは兄弟石であることをご存知でしょうか。鉱物データの化学式で見ますと、どちらの石も「Al2O3」なのです。

Stone_080617では「ルビー」と「サファイア」はどこでどう区別されているのでしょうか? この質問にお答えするには、この二つの宝石の原点を知る必要があります。実は前記の「Al2O3」は鉱物学の領域では「コランダム(Corundum)」と呼ばれる鉱物を表す化学式なのです。和名では「鋼玉(こうぎょく)」と名付けられています。このコランダムにクロムが含有されると赤くなり、チタンや鉄が含まれると青くなるという性質があるのです。この色づきの具合は無段階のバリエーションがあり、赤である場合は淡いものから濃いものまで、青である場合も同様です。さらに、無色の「コランダム」までありますよ。

「コランダム」のこうしたカラーバリエーションの中でも、赤いものは「ルビー」、青およびその他のものは「サファイア」として識別されています。でも、微妙な境界線にある石もあります。それは淡い赤色の石。これはルビーかしら?と思ってしまいますが、おおかたは「ピンク・サファイア」とされています。また、不純物の多い「コランダム」は「エメリー」と名付けられ、工業用の研磨剤として広く利用されています。この「研磨剤」というのも「コランダム」の特徴を表すキーワードのひとつなのです。

というのは、「コランダム」のモース硬度は「9」。以前にご説明したように、鉱物の硬度は「1」から「10」まであり、一番硬い鉱物がダイアモンドで、「10」ですから、「コランダム」はダイアモンドに次いで硬い石ということになりますね。それ故に「研磨剤」としては、極めて優れた性質を持っていることになります。

さて、話を「ルビー」に戻しましょう。「ルビー」がルビーたるゆえんは何と言ってもその色の美しさです。特に上等とされるルビーの赤色は、さまざまな表現で語られています。バラ紅色、血赤色、燃えるような赤、ピジョン・ブラッド(鳩の血色)、ビーフ・ブラッド(牛の血色)、燃える石炭、等々。これらの表現から読み取れるルビーに対する人々の感覚は、「鮮烈かつ情熱的な赤」といったところでしょうか。

さらに、この赤色についてもひとつの評価基準があるのです。まず、赤色はできるだけ濃いほうが良い。でも、この赤に黒みが入り、どす黒い赤になってくると評価が下がります。想像するとちょっと怖いですが、鮮血のような赤色のルビーが良質ということですね。私は「鳩の血」を実際に見たことはありませんが、ミャンマー産の最高級ルビーに使われる赤色は「ピジョン・ブラッド」と呼ばれています。

次回にまた、「ルビー」にまつわるさまざまなお話をいたしましょう。