「サファイア」といえば、つい「ブルー」と思いがちです。でも実際は、すでにお話ししたようにサファイアとルビーの原石である「コランダム」のうち「赤」だけをルビーと呼び、それ以外の色石はサファイアと呼んでいます。ですから、サファイアには「青」以外の色の石がいろいろとあるのですよね。でも、ビックリするほどたくさんの色があるわけではありませんよ。一般的に認知されているのは、オレンジ、ピンク、イエロー、グリーン、バイオレットなどです。ただ、オレンジとピンクが微妙に混じりあった色や、やや赤味の強いピンク、イエローに少しばかりオレンジが加わった色など、実に微妙なカラーレンジを持っています。これを「虹色のカラーバリエーション」と呼ぶ人もいますが、サファイアの分類から言えば、「青」以外のサファイアは「ファンシーカラーサファイア」と呼ばれています。Stone_080715_4

ここで特記しておきたいのは、この「ファンシーカラーサファイア」の中に「パパラチア」とい う特別な存在のサファイアがあることです。それはオレンジとピンクの中間の色合いの石。ちょうど「蓮の花」の色に似ていることから、サファイアの世界的産地であるスリランカの「蓮の花」を意味する言葉「パパラチア」が冠されました。しかも、この「パパラチア」には「キング・オブ・サファイア」という称号まであるのですから、「サファイア=ブルー」という常識は通用しないということですね。

でも、そうは言っても、サファイアを代表するのはやはり「ブルーサファイア」。この「ブルーサファイア」の中でも最高峰とされるのがインドのカシミール産の「コーンフラワーブルー」と呼ばれる逸品です。「矢車草の花の青」とも、「シルクやベルベットの青」とも言われるほど、その美しさは際だっています。ただ残念なことに、カシミールでは今日、ブルーサファイアはほとんど採れず、市場でめったにお目にかかれないと言われています。ちょうど「ピジョン・ブラッド」と呼ばれる本物のルビーをほとんど見かけないのと同じですね。

では、サファイアの今日の産地はどのような所でしょうか? 最も多いのがインド半島の南西に位置する小さな島国スリランカです。島名が現在でも「セイロン島」と言われるように、この国は「セイロン紅茶」の産地としても私たちにはなじみが深い所ですね。あとはミャンマーもサファイアの産地としてあげられることが多いのですが、現在ではごく少量しか採れないと言われています。そんな中、アフリカ大陸の東南に位置する島、マダガスカルが良質のサファイアの産地として、にわかに認知され始めたようです。

ところで、「ルビー」にはカボションカットすると6条の白い線が浮かび上がる石があるとお話ししましたが、憶えていらっしゃいますか? そう、「スタールビー」ですね。実はサファイアにも同じように6条の白い線が現れるものがあります。それを「スターサファイア」と呼んでいます。スターサファイアのこの6条の白い線、写真をご覧になると、3本の線の交差から成り立っている感じがするでしょう? 興味深いことに、この3本線は「信頼」「希望」「運命」を象徴しているとされているのです。

次回は、人々がサファイアから感じとったパワーを通して、この石のパワーストーンとしての魅力についてお話ししましょう。