石たちの生成の歴史をたどっていくと、人間の尺度をはるかに超えた雄大な時の流れを感じます。人間の歴史といえば、一般的には紀元前5,000年から2,000年にかけて誕生したメソポタミア文明、エジプト文明、インダス文明、黄河文明を起点とするもの。西暦2,000年を数える今日からしても、おおよそ7,000年前の話です。ところが人類がこの地上に出現したのは約500万年前とされていますから、これだけでも気が遠くなるような話ですね。そして、もっと驚くことに石たちの生成の歴史という世界になると、1億年単位の時間を遡ることとなるのです。
実際、オパールが今日採掘されているオーストラリア大陸では、恐竜の化石がオパールStone_080729_2 化したものがたびたび見つかっています。この恐竜たちの時代といえば、有名な「白亜紀」と呼ばれる年代で今からざっと1億4,000万年前のことです。オパールが1cmの厚さに育つためには500万年という時の流れが必要だと言われていますから、オパールをセッティングしたペンダントひとつをとっても、そこには計り知れない時間の凝縮が秘められているのですよね。
では、オパールの生成という観点から、この石の組成を探求してみましょう。「オパールは二酸化珪素に水が加わった鉱物」と言われるとおり、オパールの化学組成を見てみるとまさにそのとおりで、「SiO2nH2O」と表記されています。どのくらいの水(H2O)が含まれているかと言えば、重量比で5~10%とのこと。したがって、オパールは鉱物とは言っても、きわめてウエットな石。水分があることで個体が安定しているのです。逆に言えば、水分がなくなり乾燥すると、オパールは個体としての安定を失い、ひび割れてしまう場合があります。ですから、ペンダントのようなジュエリーにした場合は、日照りの中で身につけない、ストーブの近くに寄らない、保管するときは湿度調整機能に優れた桐の箱にしまうなどの気遣いが欠かせません。
さて、オパールと言えばあの虹のような輝きの秘密を知りたいですよね。でも実は、すべてのオパールが虹のような輝きを持っているわけではありません。また色もさることながら、透明なもの、半透明、不透明なものまであります。色としては無色、乳白色、褐色、黄色、緑色、青色とさまざまです。虹のような発色のオパールはむろし、まれであるとも言えるのです。
この虹のような発色を専門的には「遊色効果・ゆうしょくこうか」と言い、次のようなメカニズムによって出現します。先ほどの組成のところでもお分かりのとおり、オパールは二酸化ケイ素を主体とするシリカゲルと呼ばれる粒子の配列から出来ています。これに光が入射するとケイ酸粒子の大きさに対応した波長の光の反射が起こって、それが美しい虹を思わせる発色となって私たちの目に映るのです。
では、次回ももう少し、鉱物としてのオパールについてお話ししましょう。