「エメラルド」と言えば、古代エジプト最後の女王クレオパトラが愛して止まなかった宝石として有名ですね。クレオパトラはなんと、自分専用のエメラルド鉱山を所有し、坑夫たちにエメラルドを採掘させていたとか。でも、この鉱山は紀元前1300年頃にはすでにエメラルドの鉱山として存在していたもの。クレオパトラの所有となったのは、それから1200年以上も経った紀元前40年頃なのです。Stone_080826

では、エメラルドの鉱物学的な側面をご紹介しましょう。エメラルドは「ベリル(Beryl)」、和 名で「緑柱石(りょくちゅうせき)」という鉱物に属す石のひとつです。実はポピュラーな「アクアマリン」も同じ仲間。その他では、モルガナイト、ヘイロドール、レッド・ベリルといった石も同種です。水色をしたベリルは「アクアマリン」、ピンクは「モルガナイト」、黄色またはゴールドは「ヘリオドール」、赤色は「レッド・ベリル」、無色は「ゴッシュナイト」、そして緑のものが「エメラルド」……というぐあいに、石の色を中心に区別しています。

緑色のベリルを「エメラルド」と呼ぶのは、エメラルドの語源からも分かります。と言うのは、エメラルドの語源はギリシア語の「smaragdus(スマラグドス)」だとされていて、「smaragdus」とは「緑の石」という意味なのです。では、緑色に発色する要素は何でしょうか? それは微量のクロムによる作用だそうです。微量の鉄が作用するとアクアマリンの水色やヘリオドールの黄色が生まれるそうです。

さて、美しい緑色をした「エメラルド」ですが、これを宝石として利用するには大きな欠点があります。硬度こそ7.5~8 ありますが、割れやすいという結晶性質があるのです。ですから、もし天然そのままの「エメラルド」をリングなどのジュエリーに仕立てると、ちょっとした衝撃でポロンと欠けてしまう場合があります。また、エメラルドの汚れを落とすために超音波洗浄などすれば、砕けてしまう恐れさえもあるのです。

したがって、宝石として流通している「エメラルド」はほぼすべて何らかの人工的な処理が施されています。多くの場合、ワックスやオイルを圧力をかけて塗布または浸含させますが、これはキズの多いエメラルドの表面をきれいに見せたり、透明度をよくするという効果もあります。「じゃあ、ほとんどのエメラルドは天然そのものじゃないの!?」と失望されるかもしれませんね。でも、エメラルドを観賞用、標本用ではなく、こと「宝石」として利用する場合には、むしろ必要な処理と言わざるを得ないのです。

それでは次回に、エメラルドの古くからの言い伝えを交えながら、パワーストーンとしての効用をお話しすることにしましょう。