「サルファー」と言ってもほとんどの方はピンとこない鉱物名かと思います。でも、実は誰もが知っている「硫黄(いおう)」のことです。ゆで玉子の臭いに似たた独特の臭気をもった黄色い鉱物です。火山の火口近くや温泉に近づくと、この硫黄の臭いが漂ってくる所がありますから、多分、多Stone_080924くの方が経験されていることでしょう。

ところで、この「サルファー(Sulfur, Sulphur)」とは、鉱物学的にはどのような素顔をもった石なのでしょうか? まず第一に理解しておきたいのは、「サルファー」は単一の元素からなる、いわゆる「元素鉱物」と呼ばれる鉱物だということです。それに対して、他の大方の鉱物はいくつもの元素が結びついて、ひとつの安定した個体を形成しているのです。「サルファー」の化学成分を見ますと、何と単純にも「S」とだけ標記されています。元素記号の一覧表を見ますと、「S」の一文字は「サルファー(硫黄)」を表しています。

ちなみに、この「元素鉱物」というのは、他にはどのような鉱物があるのかと言えば、金、銀、銅、水銀、鉄、白金、砒、石墨、ダイアモンドなどの15種類ほどです。一般には「元素鉱物」は「金属」、「半金属」、「非金属」で分類され、「金属」には金、銀、銅などが、「半金属」には砒素が、「非金属」には炭素や今回の硫黄(サルファー)が所属しているといったところです。

そして、「サルファー」には、もう一つ大きな特徴があります。それは硬度が低く、かなりもろいということです。モース硬度で言いますと、1.5 ~ 2.5 という数値です。硬度1とされる滑石(ろう石)よりやや硬く、硬度2の石膏(せっこう)とほぼ等しく、硬度3の方解石よりやや柔らかいと言ったところでしょう。したがって、ジュエリーとして加工したり、パワーストーンとしてブレスレットなどにするには不向きな石です。「サルファー」を身近に置くとすれば、臭いのこともありますから、普段は密封されたビンなどの容器にしまっておく必要があるでしょう。

その他の特色としては、110℃~120℃の熱で溶けはじめ、450℃の熱では沸騰しはじめるという性質を持っています。また、「サルファー」は熱を伝えにくい「不良導体」であるため、手で触ると暖かく感じるという特性もあります。

このようなお話しをすると、「サルファー」はまるで役に立たない石と思われてしまうかもしれませんね。でも、この石は工業用として、今日の私たちの生活にはとても重要な役割を果たしているのです。その主な働きとは「硫黄」から「硫酸」が製造され、その「硫酸」が多方面で利用されているということです。代表的なものとしては、肥料、洗剤、染料、顔料、医薬品、火薬、薬、殺虫剤、溶剤などです。

この活用例からもお分かりのように、「アルファー(硫黄)」はきわめて幅広い利用範囲があると同時に、一般人にとっては諸刃の剣といった部分もあります。必要以上に怖がる必要はありませんが、一部の人にとっては接触アレルギーを引き起こす恐れがあります。また、「サルファー(硫黄)」を細かい粒子にしたりすると空気中の水分に反応し、硫酸に変化する場合があるのです。硫酸は皮膚のかぶれを引き起こしたり、濃度が濃ければ強い毒性もありますから、くれぐれも取扱には注意が必要と言えますね。

では、次回は「サルファー(硫黄)」の歴史的な側面とパワーストーンとして見た場合の効能などをお話ししましょう。