「アンビリーバブル! 張成沢は金正恩の叔父で、妻の金敬姫は金正日の妹という金ファミリー。正日の死去した後は正恩の後見人として権限を握ってきた実質的なナンバー2です。その張成沢が失脚したというんですから……」(『コリア・リポート』編集長・辺真一氏)

 

11月下旬、韓国国家情報院は、張成沢の側近2人が公開処刑され、自身も労働党行政部長、国防委副委員長などのすべての役職を解かれたと発表した。いま北朝鮮の権力中枢で何が起こっているのか。ナンバー2が突然失脚した理由を、元防衛庁情報本部分析官の西村金一氏は次のように分析する。

 

「正恩体制になってから、北朝鮮軍では師団長級の古参幹部が次々に更迭されて正恩と同世代の若手士官がこれに取って代わりました。当然、軍内部には急激な若返りに対する不満が高まっています。こうした不満が、正恩ではなく、後見人で実務者である張氏への不満にすり替わった可能性があります」

 

張成沢が金正恩の権威を脅かす存在になったことが、自らの失脚を招いたというのは前出の辺氏だ。

 

「張成沢は、去年100回以上、金正恩の視察に同行したのに、今年は半分の50回も行っていない。最高権力者である金正恩を軽んじ、金正恩の名代として振る舞って権力を乱用したと疑われている。北朝鮮では処刑されてしかるべきだが、さすがに大物だから、身代わりとして部下2人がスケープゴートで処刑されたとみていいでしょう」

 

では、張成沢を失脚させたのは正恩自身の指示によるものなのか。

 

「党政治局員や国防委員会には80代の幹部が何人もいる。彼ら長老は、パルチザン時代から金日成に仕えた部下で、その後は金正日を支え、今は最後のご奉仕で金正恩を支えている。彼らは金王朝にとって邪魔な者は断じて許さない。彼ら“闇の軍団”が張成沢の首に鈴をつけたのです」(辺氏)

 

そして問題は失脚騒動の“第二幕”だと、前出の西村氏は指摘する。

 

「公開処刑されたとされる行政部の副部長2人は、秘密警察のトップであり、軍と秘密警察に対立が生じる可能性があります。崔軍総政治局長が秘密警察を早期に抑えることができないと、政治的な混乱は避けられません」

 

影響は北朝鮮内部にとどまらない。金正恩は中国の虎の尾を踏んだというのは、ジャーナリストの青木直人氏だ。

 

「張成沢以上に中国とのパイプを持っている人物は北朝鮮にはいない。彼の失脚は先軍政治と改革開放の二本立てできた北朝鮮の政策が先軍政治一本に戻ることを意味する。中国はこれを歓迎しない。もし中国の援助がなくなれば北朝鮮は崩壊する恐れがある。それは地域の不安定化や難民の大量発生を生む。日本にとっても大問題です」

 

17日、金正日の命日に張成沢ははたして姿を現わすのか。世界が注視している。

 

(週刊FLASH 12月24日号)