475の議席をめぐり、1191人が戦う今回の衆院選。当選率は約40%だ。そんな激戦のなか、これまで230人以上の候補者の街宣車に乗り込み、“勝率9割”を誇るウグイス嬢を発見した!

 

「9割は自分だけの力ではありません。候補者にも恵まれましたから……」

 

そう謙遜するのは、幸慶(ゆきよし)美智子さん。この衆院選でも4人の候補者をかけ持ちするという売れっ子だ。公明党、共産党以外のすべての政党から依頼があるというから、けっして勝ち馬に乗っているわけではない。候補者の経歴や得意とする主張もそれぞれだ。

 

「街宣が終わったら、その候補者のすべてを忘れてしまいます。そして、次の候補者の名前や政策は直前に覚える。新人のころ、候補者の名前が『たけし』なのに、『たかし』と連呼してしまい、真っ青になったこともありましたが(笑)」

 

幸慶さんがこの道に入ったのは大学時代の’91年。神戸市議選を手伝ったのがきっかけだ。当確を得た候補者と万歳三唱する連帯感に、一気にハマった。しかし、苦労も多かった。宿泊所がなくラブホテルに泊まったり、生卵が飛んできたこともあった。

 

「選挙カーの窓は高く、腕を上げっぱなしで手を振っていると、15分で痛くなってきます。“票が逃げないように”と、手を振るときは指をぴったり閉じなければならず、これも疲れるんです。昔はセクハラもありました。高齢の候補者の方が、『脚を触ってもいいかなあ』と膝から下をサワサワ〜。『これ(選挙)が終わったらわしと一緒に温泉行かへんか』と言う方もおられました」

 

賃金は法で決まっており、1日で最大15,000円。けっしてわりがいい仕事ではないが、「たとえば団地で『台所の豊かさ』を訴えかけると、窓を開けて手を振ってくださる。有権者の方の反応が直に感じられるのが醍醐味です」

 

アナウンス内容は自分で練り上げ、台本も使わないという幸慶さんだけに、候補者に対する目は厳しい。

 

「上から目線で“大名選挙”したり、自分の信念だけ連呼する候補者はダメです。私がいちばん効果的だと思うフレーズは、『私は皆様のお声を国政に届ける代表です』という言葉。地域コミュニティの総代ということを忘れ、組織的な宣伝に頼る候補者はズバリ、落ちます」

 

今回の選挙戦も、旗色が徐々に鮮明になってきた。

 

「今回の台風の目は、次世代の党。各候補者に選挙プランナーをつけるなど、党がとても手厚い支援をしています。一方、維新の党はサポートが不足気味。私が見たのはお膝元の大阪なのに……。候補者は頑張ってるんですが」

 

“泣いてくれ”と候補者から頼まれ、涙声でマイクを握るというウグイス嬢たち。しかし、その目は、冷静に真実を見抜いている。

 

(週刊FLASH12月23日号)

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