「無人機」とは、UAV(無人航空機)からラジコンくらいの大きさのドローンまで、人が搭乗せず航行できる航空機の総称だ。安全な場所から偵察やミサイル攻撃ができるため、「きつい・単調・危険」な任務に投じられてきた。機体が安価なうえ、撃墜されても遺族に見舞金を支払う必要がないからだ。

 

5月初旬、アメリカ海軍は最新鋭ステルス無人機、X-47Bの空母からの発艦試験に成功した。その数日前、中国でもこの機体によく似た「利剣(リジアン)」の地上実証試験が行われた。無人機生産競争の表舞台に立った中国。その裏側には、かの国の“お家芸”ともいえる情報戦があったー。

 

5月、米国防総省は、軍事産業大手キネティック社にサイバー攻撃があったことを発表。中国軍指揮下のハッカー集団が3年間にわたり、130万ページにおよぶ膨大な機密データを盗み出していたのだ。アフガンの戦闘から福島第1原発で活躍したロボットの活動情報までが流出し、昨年4月に中国軍は同社の爆弾処理ロボットそっくりのものを公開している。

 

中国はとにかく、アメリカの無人機を“パクる”ことで開発を進めている。たとえば前出のステルス型無人攻撃機「利剣」。じつは実際に飛ぶのかは不明なのだが、そのエイのような独特の形から、アメリカ軍のX-48、RQ-170や、イギリス軍の試作ステルス型無人機・タラニスと瓜二つだとの非難が上がっている。

 

中国は、日本とは尖閣諸島、マレーシア、フィリピン、台湾とも東シナ海上で領土問題を抱える。また、モンゴルやインドをはじめ国境を接する国との間でも数限りない対立が起きているので、こうした問題に無人機で対応する姿勢を見せ始めている。

 

「沿海の11の各直轄市・省・自治区に無人機の基地を1カ所ずつ設置し、各基地に少なくとも1機の無人機を配備することを決定しており、尖閣諸島、西沙諸島、南沙諸島の周辺海域などの監視活動に投入される見通しである」(防衛研究所・神田英宣氏)

 

そして、これからタイやアフリカ諸国が中国から無人機を調達する可能性は高い。理由はなんといっても価格の安さだ。アメリカ製の「リーパー」が1千500万ドル以上するのに対し、中国製の「翼龍(イロン)」は100万ドル足らず。中国製無人機はパクリだから開発予算がかからず、そのぶん製品価格を安くできるのだ。

 

米軍関係者や政府高官は主要メディアを通じ「今後中国は、“価格破壊”を武器に世界の無人機市場を席巻する恐れがある」と警鐘を鳴らしているが、中国製無人機の拡散は止まりそうもない。

 

(週刊FLASH 6月25日号)