「私、マクドナルドのチキンナゲット大好きです。我が家は5人家族ですから、ひと箱注文すると、1人1個ずつ食べられてとっても経済的なんです。で、よく食べました。だから今回の中国工場の不祥事で怒り心頭!かというと、そうでもないんですね。だって私、『たぶんそんなことだろう』って思って食べてましたからね」

 

そう語るのは(株)大阪綜合研究所代表で、ニュースキャスターの辛坊治郎さん。辛坊さんは今回の「チキンナゲット事件」を次のように見ている。

 

「今回の騒動には、いくつも腑に落ちないことがあるんです。騒ぎの発端となったのは、上海テレビの『潜入取材』ですが、『潜入』というわりには映像と音声がはっきり撮れすぎです。工場従業員として作業しながら、あのクオリティの映像を撮るのは簡単ではなく、それも数カ月にわたって取材していたそうですから、ふつう周囲が気づきますよね。となると、考えられることはただひとつです。今回の『潜入取材』は、相当に大規模に、それも工場のしかるべき立場の人物とテレビ局幹部との間で、『合意』の下におこなわれたってことです」

 

中国のマスコミで、完全に共産党政権から独立している組織はない。なぜなら、情報統制こそが共産主義体制維持のキモだからだ。

 

「中国では、インターネットを含めすべての情報が政府の統制下におかれていて、どの情報をどんな形で国民に発信するかについて、政権の意向がきわめて大きく反映しています。ひと昔前なら『意向が反映』どころか、すべての情報は政権が握っていたんですが、最近ではネットなどを中心に国民の素朴な声が噴出することもあります」

 

だが、少なくとも、看板を掲げて営業しているメディアの報道内容は、今でも完全に当局の統制、検閲の下で発信されている。

 

「つまり、今回の工場スキャンダルは、共産党政権のお墨付きを得て大規模に仕掛けられたと見るのが正解でしょう。いったい何のためか?目的は数々考えられますが、最大のものはアメリカに対する嫌がらせです」

 

今回問題が明らかになったのは、アメリカ大手資本の直営工場だった。

 

「上海のテレビ局がこの『スクープ』を初めて放送したのが7月20日、取材に1カ月以上かけたそうですから、取材開始は今年の春ごろです。この時期何があったかというと、オバマ大統領が日本やフィリピンなど4カ国を訪れて、スプラトリー(南沙)諸島における中国の振舞いを牽制しています。何が言いたいのか?それは中国の不快感をアメリカに思い知らせるツールとして、アメリカ系の食品会社が狙われたんじゃないの?って話です」

 

(週刊FLASH8月 19日・26日号)

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