日経平均株価が1万5千円を割り、4カ月半ぶりの安値をつけた今月16日。大荒れの東京証券取引所のなかで、場違いな賑わいを見せる一角があった。

 

拍手を浴びていたのは峰岸真澄氏(50)。この日“今年最大”といわれる上場を果たした、リクルートの5代目社長である。公開価格3千100円で売り出されたリクルート株には3千170円の初値がつき、初日は3千330円で取引を終えた。

 

この日の午後におこなわれた会見では、上々の滑り出しについて「当社からのコメントは特にない」と答えた峰岸社長だが、その内心はどうだろうか。なにしろ、峰岸社長はリクルート株を約30万株保有する株主でもある。一夜にして資産10億円超の億万長者になったのだ。

 

リクルート事件やダイエーの子会社になっても動じず、コツコツ自社株を買いためたベテラン社員からは、峰岸社長のほかにも多数の億万長者が誕生する。今回の上場の際にリクルートが提出した「目論見書」は、まさに“億万長者リスト”。現在、3万株以上を保有するじつに約140名が、上場によって1億円以上の資産を手にしたことになる。

 

歴代社長となると、さらに桁が違う。’97年、3代目社長に就任した河野栄子氏(68)。リクルート事件による1兆円もの負債を返済するなど、猛烈な仕事ぶりで“女帝”とも呼ばれた。そんな河野氏が保有する株式数は、なんと500万株にのぼる。上場初日の終値で

計算すれば、一夜にして167億円という天文学的な資産を手に入れたことになる。

 

上場当日、その使い途を聞こうと、埼玉県のベッドタウンにある河野氏邸を訪れた。朝10時前、ラフな服装の初老の男性が車を止める。すると、玄関から白いスーツ姿の河野氏が現れるやいなや、大急ぎで助手席に飛び乗って行ってしまった。だがその翌日、親族から、河野氏の家庭的な一面を聞くことができた。

 

「栄子さんは、家にいるときは、いつも3人の孫のお守りをしてくれます。ふだんの生活はケチケチですよ。家事でもなんでもコスパが大事という信念を持っている。いつもはまったくビジネスや株の話はしないですよ」

 

いまも1社の社外取締役を務める河野氏だが、自宅のベランダには、丁寧に干された洗濯物がかかってあった。“女帝”と呼ばれたキャリアウーマンの、主婦としての一面だった。

 

(週刊FLASH 11月4日号)

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