「後藤さんとは’03年、NHKの『週刊こどもニュース』に出演してくださったときからのつき合いです。私がフリーランスとなって中東に取材に行ったときには、リビアとレバノンとヨルダンでお世話になりました。彼は『とても危険なところ』と『そこそこ危険なところ』を峻別する力があった。私は『とても危険なところ』には行かないようにという後藤さんの助言に、いつも従っていました」

 

そう語るのは、過激派組織「イスラム国」に拘束された後藤健二氏とかつて中東で一緒に取材したこともある、池上彰氏。危険を察知する能力が高かったという後藤さん。だが、そんな後藤さんでさえ、イスラム国の人質となってしまった、今回の事件。

 

「イスラム国は『日本が十字軍に参加した』と言っていますが、それはイスラム国と戦う諸国に支援をすると安倍首相が発言したからです。『敵に味方する奴は敵だ』という理論です。日本が人道援助すれば、それだけ各国は資金を節約し、軍事費に使えるようになると、イスラム国は考えたのです」(池上氏・以下同)

 

いまや世界中を敵に回したイスラム国は、いったい何を目指しているのか。池上氏は次のように解説する。

 

「かつてイスラム世界だった版図をすべて取り戻し、『イスラム帝国』を再興したいと考えているんです。中期的には『西はスペインから東はインドネシアまで』の一大イスラム帝国を2020年までに樹立することです。長期的には、世界全体をイスラム国家にしようと考えています」

 

じつは、こうしたイスラム国の源流となった戦略は公にされている。

 

「それが、2005年、ヨルダン人ジャーナリストのフアード・フセイン氏がアラビア語の新聞に発表したルポです。その記事では、預言者ムハンマドの後継者『カリフ』が支配する世界を再興するため、7段階で世界を変えていくとされています」

 

具体的には、【1】9・11テロで覚醒し、【2】若者たちのジハード(聖戦)参加を進め、【3】シリアからアラビア半島への勢力拡大を目指す。2010年からは【4】サイバーテロなどでアメリカ経済と米軍への攻撃を進め、2016年までに【5】カリフ制を宣言。続いて【6】イスラム軍と非イスラム国の全面戦争が起き、2020年までに【7】敵の勢力は弱まり、最終勝利するーーとなっている。

 

もし、スペインからインドネシアまで制覇すれば、じつに東西1万2千キロにおよぶ大帝国となる。

 

「イスラム国の近隣にあるトルコ、ヨルダン、レバノンなどはいずれも『反イスラム国』です。イスラム国が拡大していくと、いつか自分たちの政権も倒されてしまうのではないかと恐れています。実際、ナイジェリアの過激派組織『ボコ・ハラム』はイスラム国に忠誠を誓いました。パキスタンの『パキスタン・タリバン運動』の一部の幹部もイスラム国に忠誠を誓っています。いままさに、世界各地のイスラム過激派が、イスラム国の配下に入ろうとしているんです」

 

(週刊FLASH 2月17日号)

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