「『日本年金機構の個人情報が流出した』とニュースで騒いでくれればくれるほど、僕らにはありがたい。電話する“口実”ができるわけだから」

 

そう話すのは、ある現役振り込め詐欺グループのメンバー(30代)だ。彼らにとっては、流出した個人情報以上にニュースそのものが大事だという。じつは本誌も基礎年金番号と名前などが書かれてある名簿を入手した。これが今回流出したものかどうかは不明だが。

 

「通常、われわれは『名簿屋』から名簿を購入して仕事をする。今回はニュースが流れた後、『流出した名簿だけど買わないか』という売り込みがずいぶん来た。それが本物かどうかはわからない」(同)

 

だが、個人情報流出のニュースに乗じて、彼らは名簿を購入したという。

 

「われわれは名簿を買って、電話番号を調べた後、電話をかけて、年金を納めているのかとか、家族構成、資産状況、銀行残高などを聞いていく。1度の電話ではなく、何回か電話して、名簿に項目を継ぎ足していく。それで名簿の価値を高めていく。名簿の転売もできる」(同)

 

項目が多い名簿は値段も上がり、高いものは1件150円ほどで取引されるそうだ。1,000件単位で2、3万件の売り買いはザラ。「今回125万件流出したと言っているが、べらぼうに多い数字でもない」(同)という。入手した名簿を使って彼らはどんな電話をかけるのか。

 

「たとえば、あなたの個人情報が流出したので、年金の振込口座を変えたほうがいいですよ、と言う。乗ってくれば口座番号を聞き出すことも可能だ。ネットバンキングをやっている人なら、パスワードを聞き出して、その場で預金を移すこともできる。相手が年金を納め忘れているならば、偽造の振込用紙を送って振り込むように言うこともできる。相手と話しながら、聞き出す情報を変えていく。『へんな電話がかかってくるので気をつけてください』と言うことも。そのほうが信用されるからだ」(同)

 

実際に6月12日には神奈川県内の70代女性が、300万円をだまし取られる事件も発生した。年金機構の職員や弁護士を名乗る男から「個人情報が流出している。キャッシュカードのデータを元どおりにするので預かる」と電話があり、カードを預けてしまったという。

 

「じつは、基礎年金番号つきの名簿は昨年から流れていた。今回のニュースを見て、なんで今ごろになって騒いでいるのかと不思議に思ったほどだ」(同)

 

日本年金機構は、昨年から個人情報が流出しているという疑惑について「承知していない。過去にも流出した事実はない」(広報室)と否定した。振り込め詐欺のメンバーは言う。

 

「情報をしっかり管理することはいくらでもできる。それをしなかったのは意識的としか思えないぐらい杜撰(ずさん)だ」

 

「日本年金機構ですが……」。そんな電話が今日にでも、あなたのもとにかかってくるかもしれない。

 

(週刊FLASH7月7・14日号)

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