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渋谷区の高級住宅街。7月30日夜9時過ぎ、黒塗りの車から足早に降りてきた男性に声をかけると、微笑しながら「お疲れさまです」とひと言発して家の中へ消えた。重光昭夫氏(60)。ロッテ”お家騒動”の渦中の人物だ。

 

ロッテは’48年に在日韓国人1世の重光武雄氏(92)が東京で創業し、’67年に韓国に進出。日本では年間売り上げ4千億円程度の食品メーカーだが、韓国では化学や建設分野にも進出しており、年間9兆円を売り上げる巨大財閥となった。

 

’90年代以降、日本ロッテは長男の宏之氏(61)が、韓国ロッテは次男の昭夫氏が、それぞれ統括する分業体制を築いてきた。だが、両社の規模があまりに違うこともあり、長男と次男の跡目争いが起きた。発端は今年1月、宏之氏が日本ロッテの副会長を突如、解任されたことだ。

 

「これを不服とする宏之氏は、7月27日、父・武雄氏とともに日本に戻り、昭夫氏を含む全取締役の解任を宣告した。その翌日、今度は昭夫氏が父・武雄氏の代表権を外してロッテグループ統括会長を事実上引退させるという挙に出たのです。韓国メディアでは、高齢の父親を担ぎ出して”復権”を狙った宏之氏を、昭夫氏が食い止めたという見方が支配的です」(元朝日新聞ソウル特派員・前川惠司氏)

 

今回の騒動は兄弟の跡目争いだけに注目が集まるが、じつはその陰に鍵を握る複数の女たちがいる。

 

「武雄氏は日本に来る前、18歳で最初の結婚をしています。最初の妻はすでに亡くなっていますが、その娘が現在、ロッテサムドン福祉財団理事長の辛英子さん。武雄氏の2番目の妻・初子さんは、今回の騒動を起こした宏之氏、昭夫氏の母親です。そして、結婚はしていないものの”3番目の妻”と呼ばれ、グループの金庫番と見なされている37歳年下のソ・ミギョンさんもいます」(「コリア・レポート」編集長・辺真一氏)

 

ソ・ミギョンさんは’77年の「第1回ミスロッテ」に選ばれ、その後は女優として活躍した。だが、’80年代になると表舞台から完全に姿を消す。創業者の”別宅夫人”として知られていたが、昨年、33年ぶりにカメラにとらえられて話題になった。

 

「ソ・ミギョンさんは’83年に武雄氏との間に娘を生みました。娘は’88年に認知され、4番めの子供として籍に入った。ソ・ミギョンさんと娘は武雄氏から特別にかわいがられ、資産がどんどん増えていった」(辺氏)

 

韓国ロッテの中核企業は、年間3兆円を売り上げるロッテショッピングだ。創業者の武雄氏は、この会社の株を宏之氏に13.45%、昭夫氏に13.46%与えている。片や、娘2人にはごくわずかしか与えていない。つまり、韓国ロッテの中核の経営は2人の息子にまかせようと決めていたことは間違いない。

 

「一方、長女には、食品系のグループ企業の株式を多めに与え、次女には流通・サービス系の株を多めに渡していることから、分業体制をしっかり狙っていたことがわかります」(辺氏)

 

クーデターに失敗した宏之氏は、現在、ソウルで両親(武雄氏、初子さん)と義姉(英子さん)と家族会議を開いていると目されている。

 

「宏之氏は『株主総会で取締役を入れ替える』と宣言しており、間違いなく再度の巻き返しを図っています。それが実現するかどうかは、長女の影響も大きいですが、長男派なのか次男派なのかはっきりしない次女がどう動くかで決まるでしょう」(辺氏)

 

キャスティングボードを握る”第3婦人”とその娘。世界を股にかける巨大企業ロッテのお家騒動は、いま幕が開いたばかりだ。

 

(週刊FLASH8月18・25日号)