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脳内出血を起こした科学者を救うため、ミクロサイズになった医療チームが体内に入って治療をする映画『ミクロの決死圏』。ナノマシンの実用化で、この映画の世界が現実のものになる。

 

「ナノマシンはナノサイズ(1ナノメートルは髪の毛の太さの10万分の1)で作られた車みたいなものです。その車に抗ガン剤を乗せてガン細胞という目的地まで確実に運ぶのです。そして、ガン細胞がナノマシンを取り込むとナノマシンから抗ガン剤が出てくる」

 

そう解説するのは、研究グループの東京工業大学教授の西山伸宏氏。実際のナノマシンは、抗ガン剤を包んだカプセルである。血管から周辺組織につながる孔が狭くて従来のカプセルが通らない場合でも、ナノマシンは小さいためガン細胞の近辺まで到達できる。

 

さらに血中に長期滞留することもできるので、細胞に異常があったときのためにパトロールさせておくことも可能。また、従来、抗ガン剤は正常な細胞にも悪影響を与えることがあったが、この危険性も減る。

 

「この技術を応用すれば、造影剤なども運べ、MRI検査では今まで以上に鮮明な映像を映し出すことができる。これまではみつけられなかった微小なガンも捉えられます」(西山氏)

 

ナノマシンが実用化されれば、「切らない手術」が主流となるはずだ。将来的には、「ガンであっても、入院不要の日帰り治療が可能になる」(西山氏)と、患者の負担の大幅な軽減が期待されている。さらに、健康でも、ナノマシンを体に入れておけば、病気を知らないうちに未然に防ぐことができるようになるかもしれない。

 

こんな夢のナノマシンは、すでにその一部が臨床治験の最終段階に到達している。来年には実用化し、保険診療の承認申請を目指すという。

 

(週刊FLASH8月18・25日号)