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「アメリカ・ファーストの信条が新しい国を作っていく。今からこのアメリカは皆のものだ。我々は、夢を取り戻す」

 

日本時間1月21日未明、ドナルド・トランプ第45代米国大統領は、約90万人の聴衆を前に高らかに宣言した。

 

大統領選に勝利した2016年11月以降、日経平均株価は3000円近く上昇。各メディアはこの状況を「トランプバブル」と煽りだし、「日経平均4万円」と報じる雑誌もあったほどだ。

 

だが、バブルは本当にやってくるのか。大手証券会社幹部は、今後の予想を懐疑的にみている。

 

「トランプ氏当選の前から、米国のGDPは前年比で2.6%上昇し、失業率は2009年の10.0%から4.6%に下がっています。米国の景気はすでに改善し、もうそれほどは上がりません」

 

実際、日本の投資家らのなかには、「もう(株価は)上がらない」と、投資を手控える動きも出ている。

 

「選挙戦直後からは、1億円を元手に2500万円の利益が出ましたが、今は株式を売却しています。トランプ氏の公約が実現するのか、予想が立たないからです。株価は就任前だったから上がったようなものですよ」(個人投資家)

 

そもそも、株価上昇で恩恵を受けたのは、一部の投資家に過ぎない。そればかりか、トランプ大統領の政策で日本経済は危機的な状況に陥りそうなのだ。立教大学経済学部の郭洋春教授は、アベノミクス「最後の切り札」が破綻すると指摘する。

 

「トランプ氏は、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)からの離脱を表明しました。TPPを『第三の矢』の目玉としていたアベノミクスが、根底から否定されたのです。トランプ氏は多国間の協定を嫌って、それぞれの国力がものをいう2国間の交渉に持ち込むつもりです。もし、日米の2国間で議論となったら、トランプ氏の強硬な発言や姿勢の前で、日本政府が有利に貿易協定を結ぶことができるのか。はなはだ疑問ですね」

 

安倍晋三首相は20日の施政方針演説で「今後の経済連携の礎(いしずえ)となる」と、TPP協定発効への期待を最後まで訴えた。

 

しかし、前出の証券会社幹部によれば、「世界的にはフランスやイタリアでユーロ離脱の機運が高まっていることに投資家の関心は向いており、トランプ氏の言動のみに左右される局面はとうに終わっている」という。いわば、演説で自賛したアベノミクスは、完全に世界から取り残されつつある。

 

日本にとって「トランプ・ショック」の本番は、これからだ。

(週刊FLASH 2017年2月7日号)

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