「マスコミはちょっと騒ぎすぎじゃないですか。おかげで観光客が減ってしまって、ゴールデンウイークじゃないみたいでした。この時期に箱根の道が渋滞しないなんて考えられません」

そう語るのは、箱根町宮城野で電器店を営む女性。先月26日から火山性地震が急増している箱根山の大湧谷周辺。気象庁は6日、噴火警戒レベルを平時の1から2に引き上げたが、観光シーズン真っ只中の箱根は大打撃を受けた。

 

気象庁としては、昨年63名の死者・行方不明者を出した御嶽山噴火のトラウマがある。当時、噴火前の警戒レベルは1のまま。噴火後レベルを3に上げたが、気象庁は「予測することは難しかった」と釈明。今回は早めにレベル2への引き上げに踏み切った。

 

怒りが収まらないのは箱根町の強羅観光協会だ。強羅は大湧谷に近く、高級旅館やホテルが立ち並ぶ地区。気象庁が発表したことで客足は遠のいた。

 

「強羅は地割れしているわけでもないし、今までに何度も山の膨張は確認されてきた。私たちにとっては当たり前のこと。古くからの住人は『地震でちょいちょい揺れているほうが、ガス抜きになって安心だ』と言うぐらい。しかも報道があまりに過剰。気象庁があたかも大変なことが起きたというような発表をして、キャンセルが相次いだ。風評被害と言っていい」(協会職員)

 

気象庁の早めの対応は、地元にとっては裏目に出た格好。しかも武蔵野学院大学の島村英紀特任教授(地震学)は、気象庁の対応に根拠がないと言う。

 

「気象庁は御嶽山の失態があるので、苦しい立場ですが、レベルを1から2に上げる理由は、火山学的にはまったく確証がないことだと断言できる。箱根にしろ、地下で起こっていることは何もわからないと思っていいです。箱根が最後に噴火したのは6千年も前。だから経験値もデータも何もないからわからない。噴火予知はできないのです」

 

失態を怖れる気象庁。年間2千万人の観光客を失いたくない地元。共に相容れない対立は続く。

 

(週刊FLASH 5月26日号)

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