安倍首相直々の要請に、今春闘は久々に明るい結果となった。自動車各社は一時金で満額回答。電機各社も定期昇給を維持した。だが、こんな声もある。

 

「トヨタなどが『ボーナス200万円』と聞いて、みんな怒ってますよ。これは下請け企業の納入単価を締め上げて搾り取ったカネだろうと。中小企業を食うや食わずまで追い込んで、自分たちだけ200万円ももらうって、それはないんじゃないの」と語るのは、東京・葛飾区で従業人4人の“町工場”を営む杉野ゴム化学工業所の杉野行雄社長。これが大多数の日本企業の現実ではないか。

 

そこで本誌は東京・大阪を中心に中小企業約200社に緊急アンケートを行った。「アベノミクスで40代社員の給料を上げますか?」。中小企業の業界団体を通じ、あるいはアポなしで訪れ、直接配布した。そして、およそ4割(82社)から回答を得た。

 

アンケートを断る理由として「機械の音聞こえる?忙しくて書いてられないよ」(機械加工)という声もあったが、もっとも多かったのが「賃上げなんてうちには関係ない。話すことなんて何もない」というものだった。

 

輸出大手は円安で潤ったが、ほとんどの中小企業はいまのところアベノミクスの恩恵は受けていないと答えた。逆に大手企業の賃上げ発表を見て「士気が下がった」という声も。大田工業連合会会長を務める昭和製作所の舟久保利明社長は次のように話す。

 

「ほとんどの中小企業は大手が賃上げしても恩恵はない。業績がいいなら部品の納入単価を1割でも上げてくれればいいが、むしろまだまだ下げろと言ってくる。『下げられないなら外国に頼む』と」

 

安倍首相はトヨタの社長に「一時金満額」への謝意を述べたという。その一方、今回の調査で賃上げを実施すると答えた中小企業は200社中わずか6社。このアンケートの声を安倍首相はどう思うのだろうか。

 

 

(週刊FLASH 4月2日号)