11月6日、安倍晋三首相は、米プリンストン大学教授のポール・クルーグマン氏(61)と会談した。ノーベル経済学賞受賞者にして、「アベノミクスは完全に正しい」と明言する、首相にとって心強い支援者だ。

 

「安倍さんは、黙って真剣にクルーグマンに耳を傾けていたそうです。『ロケットを打ち上げようとしているのに、“消費増税”という錘がついている』。これが、クルーグマンの主張です」(官邸筋)

 

このとき同席していた内閣官房参与、アベノミクスの提唱者でもある浜田宏一・エール大学名誉教授(78)が本誌のインタビューに応じ、増税先送りの舞台裏を明かした。

 

「11月になって、内閣府の点検会合(消費増税に関する有識者の会合)がおこなわれています。4日の第1回会合で、私は10%への増税を’17年の1月か4月まで先延ばしすべきだと主張しました。今年4月の増税がボディブローのように効いていますから。このときは8人の参加者のうち、5人が予定通りの増税に賛成しました。ところが、13日の2回めの会合では、9人のうち6人が増税延期派に替わっていたのです。『人選にバランスをとるように』という、首相、官房長官の意向が反映されたといえます」

 

クルーグマン氏との会合を挟み、首相のなかで考えが固まったのだろう。浜田氏は今月発売の『文藝春秋』でも「当初の予定より1年半遅れの’17年4月がベスト」と具体的に提言している。安倍政権の増税先送りのサプライズ・シナリオは浜田氏の“予言”どおりに進んだのだ。

 

浜田氏はかつてアベノミクスについて、大学の通知表にならってこう採点している。「金融緩和はAプラス、財政政策はB、成長戦略の第3の矢はE」という評価だ。

 

「第1の矢、第2の矢はうまくいきつつあるということですが、成長戦略がこれからの課題。成長するためには、官僚の抵抗を抑えなければなりません。不必要な規制がどれだけ国民の便宜を奪っているか。規制によって権限を強めるのが官僚です。官僚の力を抑えないかぎり、第3の矢はうまくいかないでしょう」

 

それにしても、なぜ今解散総選挙に踏み切るのか。

 

「自民党はいまの衆議院の議席数なら、選挙する意味はまったくないわけです。それなのに、なぜ解散するのか。これは聞いた話ですが、自民党の中にも、麻生太郎財務大臣のような財政再建派、増税賛成派がいる。増税先送りで選挙をやって勝てば、彼らも納得せざるをえない。アベノミクスを進めるために選挙が必要だというのです」

 

アベノミクスを成就させるための総選挙。そこには血税700億円が使われる――。

 

(週刊FLASH12月2日号)

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