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本誌のドキュメンタリーページ『シリーズ人間』に登場し、「あのキレイだけど押しの強い弁護士はナニモノ?」と、巷をにぎわせた仲岡しゅん弁護士。その正体は、男性として生まれ、数年前に女性に「トランス」した男と女のハイブリッド弁護士!大阪生まれ、大阪育ちの若き闘士は、悪を許さぬ正義感と、美貌に似つかぬ義理人情を盾にして、法律を武器に日々奮闘中。そんなハイブリッド弁護士がトラブルをシュッと解決!

 

【今回の相談】「高速道路で渋滞にはまり、トイレをずっとガマンしていました。やっとの思いでたどりついたサービスエリアのトイレに駆け込むと、切羽詰まったオバちゃん数人が『私、今だけオトコ~』『私も~!』と男性用トイレになだれ込んできました。女性用トイレが長蛇の列だったとはいえ、法的にアウトじゃないの?」(20代男性・会社員)

 

【回答】「『今だけオトコ』オバ様は、法律上“ギリギリセーフ”でしょう」(仲岡しゅん)

 

トイレを使うときだけ「今だけオトコ」と化す淑女の皆様方。これが仮に違法だとすると、どんな罪にあたるのでしょうか。

 

問題になりそうなのは、建造物侵入罪(刑法130条)ですわね。この建造物侵入罪が成立するのは、「正当な理由がないのに」「人の看守する建造物に」「侵入」した場合です。

 

まず、「人の看守する建造物」ですが、男性用トイレはこれに当てはまります。サービスエリアのトイレは、そのサービスエリアの管理下にあるわけですからね。

 

問題は、このオバ様方が「正当な理由がないのに」「侵入」したといえるかどうかです。「侵入」とは、管理権者の意志に反する立ち入りのこと。そこを管理している人にとって立ち入りが望ましくない場合は「侵入」になるわけです。

 

では、オバ様方の男性用トイレへの立ち入りの場合はどうでしょう。サービスエリア側は、男性用トイレを使用するのは男性と想定しており、特別な事情のない女性の利用を想定していないはずですから、厳密にいうとオバ様方の利用は「侵入」となりえます。

 

ですが、3つ目の要件に「正当な理由がないのに」とあります。これはつまり、通常は立ち入りが想定されていない場所への立ち入りであっても、正当な理由がある場合には、建造物侵入罪は成立しないということです。

 

「今だけオトコ」のオバ様方の場合、貴方が用を足している姿を見たかったわけではなく、女性用トイレが長蛇の列で混雑していたため、やむなく入ってきたと想定されます。女性用トイレがガラ空きなのにわざわざ男性用トイレに入ってきたのならともかく、そういう切羽詰まった生理的事情がある場合には、「正当な理由」ありといえ、違法とはならないでしょうね。

 

実際、おなかを壊した男性が切羽詰まって女性用トイレに入ったという事案で、最近、無罪判決が出ています。そんなわけで、「今だけオトコ」オバ様は、法律上“ギリギリセーフ”でしょう。

 

「今だけオトコ~」は、たしかにモラルに反していますけれど、それくらいは大目に見てあげてはいかがかしら? わたくしなら、許します。

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