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本誌のドキュメンタリーページ『シリーズ人間』に登場し、「あのキレイだけど押しの強い弁護士はナニモノ?」と、巷をにぎわせた仲岡しゅん弁護士。その正体は、男性として生まれ、数年前に女性に「トランス」した男と女のハイブリッド弁護士!大阪生まれ、大阪育ちの若き闘士は、悪を許さぬ正義感と、美貌に似つかぬ義理人情を盾にして、法律を武器に日々奮闘中。そんなハイブリッド弁護士がトラブルをシュッと解決!

 

【今回の相談】「先日、フリマアプリで気になっていた商品が市価の半額で出品されていたので、即ゲットしました。ところがその後、その商品が大量に盗まれ、売りさばかれていたというニュースが。どうやら出品者は万引の常習犯だった様子! 盗品を買ってしまった私は罪になりますか? そしてこの品はどうしたらいいですか?」(20代女7性・会社員)

 

【回答】「今回の場合は犯罪にはなりません(仲岡しゅん)」

 

今回のご相談のポイントは、フリマアプリそのものではなく、盗品を買うという行為が犯罪になるか、ということですわね。刑法256条2項によると、盗品を「運搬」「保管」「有償で譲り受け」または「有償の処分のあっせん」をした者は、10年以下の懲役および50万円以下の罰金に処する、とあります。

 

このうち、「有償で譲り受け」というのは、要するにお金を出して買うことです。つまり、盗品を買う行為は、条文のとおりでいけば、犯罪。ですが、法律はそんなに酷ではありません。刑法上の犯罪が成立するためには、原則として「故意」による行動である必要があります。平たく言うと、「わざとやったかどうか」が重要なんですね。

 

貴女は、買ったときには盗品だとは知らなかった。つまり、わざとじゃない。「故意」がありませんから、今回の場合は犯罪にはなりません。

 

ここで、問題がもう1つ。貴女が買った盗品を万引の被害者に返す必要があるのか、という点です。これは刑法ではなく民法の問題。民法192条の、動産の「即時取得」という制度には「平穏に、かつ、公然と動産の占有を始めた者は、善意であり、かつ、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得する……」という、一般の方にはおそらくチンプンカンプンであろう条文があります。これを極めて大ざっぱに言うと「アンタがごくフツーに買うたモンは、アンタのモンや」となります」

 

一方、モノを盗まれた被害者からすれば、盗品を取り戻せないということになり、これは気の毒です。そこで、民法193条では、被害者の回復請求権、つまり盗品を返してもらう権利が認められています。万引の被害に遭った側もお気の毒。ですが、知らずに盗品を買ってしまった貴女もお気の毒。こういった、双方に損害が生じる場合、どちらの利益が優先されるのでしょうか。

 

これを解決するのが、民法194条。盗品を公の市場や商人から買って、被害者に盗品の返却を求められた場合、買い主である貴女は支払った代金を被害者に弁償してもらえるのです。

 

今回の出品者が同種のモノを不特定多数に向けて販売していたとすれば、アプリとはいえ「市場や商人」に当たるでしょう。ですから、もし被害者から品物を返すよう言われたら、貴女は購入代金を弁償してもらうことができます。もちろん、品物は返却する必要がありますけれども。お金のほうもしっかりお返しいただきましょう。

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