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男性として生まれ、数年前に女性に「トランス」した男と女のハイブリッド弁護士・仲岡しゅん氏。大阪生まれ、大阪育ちの若き闘士が、みなさまのトラブルをシュッと解決!

 

【今回の相談】「マンションの隣人のたばこ臭に悩んでいます。ベランダで喫煙しているわけではないのですが、ベランダのダクトからたばこ臭がきて、うちの洗濯物がたばこのニオイに……。どうやら換気扇の下で吸っている様子。管理会社に相談しても『室内は専有部分』と取り合ってくれません。法律で対処できませんか?」(30代女性・会社員)

 

【回答】「残念ながら対処する法律はありません」(仲岡しゅん)

 

今回は「隣人のたばこに対処する法律がないか」というご相談。結論から言いましょう。残念ながら、そんな法律はありません。

 

「健康増進法」25条では、施設等の管理者に対して、受動喫煙防止のために必要な措置を取るよう求めていますが、個人の住居の中まではカバーしておらず、今回のケースに適用するのは難しそうです。

 

もっとも、特別な法律がないからといって、深刻なたばこ被害に対処法がないかというと、そういうわけでもありません。民法709条の「不法行為」が救ってくれる可能性があります。不法行為を極めて大ざっぱに言いますと「あんたの権利が誰かに侵害されとったら、そいつに損害賠償請求してええねんで!」ということです。

 

過去の裁判例を見てみましょう。マンションに住んでいるAさんは、ぜんそくを患っていました。ところが、Aさんの下階に住んでいるBさんがベランダでたばこを吸い、Aさんの部屋までたばこの煙が上がってきました。それによって体調が悪化したAさんは、Bさんに対して、不法行為に基づいて損害賠償請求をしたという事案です。

 

地裁の判決では、少額ながらAさんの請求が一部認められました。そのマンションの使用規則ではベランダでたばこを吸うことは禁止されていなかったようですが、BさんがAさんに対して配慮することなく喫煙し続けたことは不法行為になる、というのです。

 

では、今回の貴女のケースはどうでしょう。隣人は、ベランダに出て喫煙しているわけではなく、室内で吸っており、その煙が換気扇を通じて外に出てきているとのこと。直接煙がこちらにやってくるベランダとは違って、あくまで個人の住居内で吸っているということから、「一定の配慮はなされている」と判断でき、不法行為とまでいうのは難しそうです。

 

法律に頼らない解決法を考えると……。たとえば、貴女の部屋の玄関先に、たばこの害を知らしめるポスターを張ってみてはいかが? 隣人が喫煙するのも自由なら、貴女が嫌煙活動をするのもまた自由なんですから。お隣に嫌われても、責任は取れませんけど。