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男性として生まれ、数年前に女性に「トランス」した男と女のハイブリッド弁護士・仲岡しゅん氏。大阪生まれ、大阪育ちの若き闘士が、みなさまのトラブルをシュッと解決!

 

【今回の相談】「雪深い街に住んでいます。早起きの隣人が、雪が降ると未明から家の前を雪かきし、かいた雪をわが家の敷地内に捨てます。朝起きると、隣家の玄関前は雪がキレイに消え、うちの家の前はドカ雪状態に。玄関のドアが開かず、窓から出ることも……。文句を言ってもやめてくれません。法的に対処できますか?」(30代男性・会社員)

 

【回答】「家の敷地の所有権に基づいて『妨害排除請求』をすることが可能です」(仲岡しゅん)

 

今回、わたくしが着目するのは、貴方の家の敷地内に雪が捨てられているという点。貴方の家の敷地には、貴方に所有権(民法206条)があるわけですから、それに基づいて「妨害排除請求」をすることが可能です。

 

まず所有権というのは、自由に物を使用、収益、処分する権利のこと。今回のご相談の場合、貴方はご自身の敷地内に捨てられた雪によって、家を自由に使用する権利を妨害されているわけですから、所有権に基づいて、隣人に対して雪を撤去するよう請求することができるわけです。

 

とはいえ、これで裁判をする場合、かなりの時間がかかります。裁判が終わるころにはきっと、雪のシーズンも終わっていますわね。

 

「そんな悠長なこと、やってられへんわー!」と思われる場合は、所有権に基づいて「妨害予防の仮処分」をするという選択肢も考えられます。隣人が今後も雪を捨て続けるおそれがある場合、敷地の使用を妨害しないよう、あらかじめ禁止しておくという方法です。

 

「仮処分」とは、民事保全法に基づいて裁判所が決定する暫定的な、文字どおり「仮の」処置のこと。通常の訴訟よりも比較的早く結果が出るのが利点です。貴方の申し立てが認められれば、雪を捨て続ける隣人に対し、雪の撤去費用を請求できたり、相手に金銭的なペナルティを与えられる可能性が出てきます。

 

しかしそれでも、「今すぐなんとかしたい!」という方にとっては、なお悠長な話。そんなときは、目には目を、雪には雪を。隣人より先に雪かきをして、相手の玄関先に捨ててやっては? ふだん、貴方が隣人からどれだけ迷惑を被っているか、相手も身をもってわかるんじゃなくて?

 

……と、勝手なことを言ってみたものの、いくら迷惑な隣人だとしても、やり返すのはさらなるトラブルのもと。可能なかぎり法的に正当な手段で解決しましょうね。「目には目を、雪には雪を」。そんな法律、ありませんから。