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男性として生まれ、数年前に女性に「トランス」した男と女のハイブリッド弁護士・仲岡しゅん氏。大阪生まれ、大阪育ちの若き闘士が、みなさまのトラブルをシュッと解決!

 

【今回の相談】「昨年、婚活サイトで知り合った男性と結婚しました。決め手はタイプの外見。でも結婚後、夫がカツラだったという驚愕の事実が判明したのです。父が“隠れヅラ”だったのがずっと恥ずかしかったため、私はヅラ男性が生理的に無理。真実を告げず私と結婚したことも許せません。これを理由に離婚できますか?」(30代女性・会社員)

 

【回答】「どうしても離婚すると言うなら、貴女が家を出て、相手と数年間の別居をしてしまうことです」(仲岡しゅん)

 

結婚した夫がカツラだったとのご相談。裁判上の離婚原因は、民法770条1項に挙げられています。しかし、ご想像のとおり、法律には「薄毛の事実を隠していたら離婚できる」なんて条文はありません。

 

そこで、カツラ問題が裁判上の離婚原因として認められるためには、「その他婚姻を継続し難い重大な事由」(民法770条1項5号)といえることが必要になるわけです。

 

この「その他婚姻を継続し難い重大な事由」というのは、さまざまな離婚原因を広くカバーするもの。どのような理由でも、婚姻関係を修復不可能に至らしめている重大なものであれば、離婚原因と認められる可能性があります。

 

どうしても離婚すると言うなら、貴女が家を出て、相手と数年間の別居をしてしまうことです。別居の理由が極めて不合理でないかぎりは、婚姻関係が実質的に破綻しているとみなされ、離婚できるでしょう。

 

でも、その前に。今回のケースでは、貴女が夫と離婚したい理由を、もう一度よく考えてみたほうがよろしいわ。貴方は、お連れ合いの薄毛がイヤなのかしら? はたまた、彼がカツラを隠していたということ自体が納得できないのかしら?

 

確かにそれは重要な事実を妻に隠蔽して結婚した、という信義の問題にもなりえます。それがその夫婦にとってどの程度重要なものであるかによって、裁判で認められることも、もしかしたらあるかもしれませんね。

 

でも、たとえば、貴女がもし整形や豊胸を隠して結婚して、後からバレてしまった場合、貴女は離婚されても当然だと思うのかしら? もしそうなら、別居を試みて離婚に向かえばよろしいし、理不尽だと思うなら、貴女のほうもやめておくべきです。

 

そもそも貴女、彼と結婚した理由を「外見がタイプで」とおっしゃったわね。だけど、外見なんて10年もすれば変わりますのよ。離婚を即断する前に、貴女の結婚観をもう一度よく考えなおす機会にしてはいかが? わたくしからは、そうおススメします。