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男性として生まれ、数年前に女性に「トランス」した男と女のハイブリッド弁護士・仲岡しゅん氏。大阪生まれ、大阪育ちの若き闘士が、みなさまのトラブルをシュッと解決!

 

【今回の相談】「同僚女性の柔軟剤の香りに悩まされています。私は柔軟剤の甘いニオイが非常に苦手で、かいでいると頭痛がしてきます。隣の席の方なので避けることもできず、苦手な旨を伝えたところ『ハァ? いいニオイじゃん』と一蹴。話が終了しました。法的に私の柔軟剤を嫌う権利を守ることはできませんでしょうか」(20代男性・会社員)

 

【回答】「職場環境配慮義務違反を訴えても、認められないでしょうね」(仲岡しゅん)

 

今回問題になっているのは、職場の同僚から発せられるニオイです。職場での就労環境に関するトラブルの場合、「使用者」である会社は労働契約上の義務として、「職場環境配慮義務」を負っています。つまり、会社は労働者が快適に働けるよう、職場の環境を配慮し、整える義務があるのです。

 

職場環境配慮義務が問題になる典型例は、環境型セクハラです。たとえば、職場にヌードポスターが張られていたり、同僚が職場のパソコンで堂々とAVをみているような場合、それを見たくない従業員の就労環境が害されていることになります。ですから、そのような場合、使用者である会社は職場環境を改善しなければなりません。違反したと認められる場合には、会社が労働者に対して損害賠償を支払うケースもあります。

 

職場環境配慮義務が問われるのは、ヌードポスターやAVのように、目に見えるものだけではありません。職場で騒音が鳴り響いている場合、就業中にわいせつな話が繰り返しされている場合、あるいは今回のご相談のように、嗅覚に関することも職場環境の問題になります。

 

ところが、今回のニオイは明らかな異臭・悪臭といえるものではなく、同僚女性の柔軟剤の香りです。

 

率直に申し上げて、これは極めて微妙です。というのも、ニオイというのは受け止め方の個人差が大きいからです。ある人にとっての「いい香り」が、ほかのある人にとっては悪臭という場合も、往々にしてあります。

 

柔軟剤の製造業者も「腐った卵の香り」とか「1年間はき古した靴下の香り」などと打ち出して売っているはずはないので、おそらく同僚女性のニオイも一般的には「いい香り」と形容されるものであると思われます。

 

つまり、今回のケースでは「一般的にはいい香り」が「一般的には問題ない程度」に漂っていることになります。これで会社に対して職場環境配慮義務違反を訴えても、認められないでしょうね。

 

考えられる解決策は、会社に対して席替えを申し出ること。そしてお気の毒ですが、あなた自身がマスクをして、ガマンなさることですわね。世の中には、自衛するしかない問題があるのです。残念ながら。