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男性として生まれ、数年前に女性に「トランス」した男と女のハイブリッド弁護士・仲岡しゅん氏。大阪生まれ、大阪育ちの若き闘士が、みなさまのトラブルをシュッと解決!

 

【今回の相談】「夫が不倫していることが発覚。しかも、相手は私の親友! 怒り狂った私は夫と親友、それぞれの車にGPS発信機を仕掛け、ゲットした動かぬ証拠を基に彼女に慰謝料を請求。すると親友は『勝手にそんなのつけて……訴えてやる!』と逆ギレ! でも、悪いのは不倫をした彼女でしょ! 絶対に私が勝ちますよね?」(30代女性・主婦)

 

【回答】「『不倫したやつは、どんなふうにしばいてもかめへん』という考え方、わたくしは嫌いです」(仲岡しゅん)

 

貴女がご自身で仕掛けたというGPSについて、最近、法曹界でも話題になりました。犯罪捜査のため、警察が令状を取らずにGPS発信機を使って行った捜査に対し、1年ほど前に「違法」という最高裁判決が出たのです。

 

刑事事件の場合、証拠を集めるのは国家権力を行使する警察官。もし警察官の捜査権限が濫用された場合、市民のプライバシーを侵害する捜査の横行につながりかねません。

 

このため、刑事訴訟法には警察が違法に入手した証拠は裁判では使えないという「違法収集証拠排除法則」があります。ですから、さきほどの最高裁判決のように、GPSを使って入手した証拠は、刑事裁判では証拠として認められないわけです。

 

ところが、今回は不倫、つまり不貞行為ですから、扱いは民事。刑事事件と違い、相手は国家権力ではなく一般人。よって、証拠は原則、自由に出していいんです。民事事件の証拠は、刑事事件よりもずっとユルいわけですね。

 

では、本題の、不貞行為の調査目的でのGPS使用はどうなるでしょう。貴女が付けたGPSは、夫の車と浮気相手の車の2つ。

 

夫の車のほうは、おそらく許されるでしょう。というのも、夫の車は貴女の家のガレージにあり、貴女が使う可能性も十分ある。いわば「ウチとこの車に細工して何か文句あるんかい」という話です。

 

問題は、浮気相手の車に仕込んだほうです。浮気相手の車は、あくまで“人さま”のモノ。浮気相手の家族が乗ることだってありえます。しかもGPS発信機を付けたとなると、不貞行為をしていないときも四六時中、相手の居場所を監視できることとなります。よって、プライバシー侵害の態様が大きく、違法となる確率が高いでしょう。貴女が慰謝料を払わされる可能性もないとは言い切れません。

 

つまり、いくら民事事件では原則的に自由な証拠提出が許されるといっても“人さま”のプライバシーをむやみに侵害したらアカンのです。

 

素人判断でヤバい方法を取るのは危険です。本当に証拠をつかみたいなら、お金をかけてでもプロに頼みましょう。いい探偵なら、わたくしがいくらでも紹介いたします。

 

それに、「絶対に勝ちますよね?」なんて聞かれても「絶対にアンタが勝つ!」なんて、わたくし、よう言いませんわ。「不倫したやつは、どんなふうにしばいてもかめへん」という考え方、わたくしは嫌いです。