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《新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するため、4月8日(水)から5月6日(水)までの期間、原則として学生の大学構内への入構を禁止します》

 

愛子さまが入学された学習院大学。ホームページにはこのようなお知らせが掲載されている。

 

「キャンパスライフを楽しみにされていた愛子さまも、いまは赤坂御所で静かに過ごされています。お体を動かすために、ときどき天皇陛下や雅子さまとご一緒に赤坂御用地を散策されています」(宮内庁関係者)

 

新型コロナウイルスの感染拡大を憂慮されている両陛下は、日本赤十字社の関係者や経済の専門家などからのご進講を計画されているという。

 

そんな中、両陛下には別のお悩みがあると語るのは皇室担当記者。

 

「安定的な皇位継承策についての議論が、またも先送りされてしまうことが決まったのです。4月19日に予定されていた秋篠宮さまの『立皇嗣の礼』が延期されたことに伴って、安倍政権は皇位継承策の議論もその後に延期することを決めました。立皇嗣の礼は秋以降に延期の予定ですから、皇位継承策の議論も6カ月以上遅れることになります」

 

現在の皇室典範では「皇統に属する男系の男子」しか天皇に即位できないことになっている。そのため、皇位継承者はすでに、秋篠宮さまと悠仁さま、そして上皇陛下の弟で84歳の常陸宮さまのたった3人しかいらっしゃらない。

 

「しかも、女性皇族は結婚と同時に皇室を離れることになっています。このままでは近い将来、皇室に残られるのは悠仁さまお一人だけという状況になりかねません。女性天皇・女系天皇容認の是非だけでなく、女性皇族が結婚後も皇室に残れるようにする『女性宮家』の創設も検討しなければなりません。課題は山積しており、一刻も早く議論を始めるべきです」(前出・皇室担当記者)

 

しかし、安倍政権は再三にわたり、議論を先送りしてきた。

 

「そもそも皇位継承策の議論は、昨年の御代替わり後、速やかに開始されるはずでした。それなのに安倍政権は、天皇陛下の『即位の礼』が終わってから、秋篠宮さまの『立皇嗣の礼』が終わってから、とすでに何度も開始時期を後ろ倒しにしています。たしかにコロナ禍は、国民の命に関わる最優先課題ではありますが……」(前出・皇室担当記者)

 

こうした政府の姿勢にはどんな意図が隠されているのか。象徴天皇制を研究する名古屋大学大学院准教授の河西秀哉さんに聞いた。

 

「立皇嗣の礼を行えば『次の天皇は秋篠宮家になる』という印象を内外に与えることになります。その状況で議論を始めれば『愛子天皇』を望む声はやや弱まるのではないでしょうか。女性天皇容認の世論が弱まるタイミングを待つために、議論を立皇嗣の礼の後に先送りしたとも感じてしまいます」

 

安倍首相は8年前、『文藝春秋』(’12年2月号)に発表した手記で《私は、皇室の歴史と断絶した「女系天皇」には、明確に反対である》《女性宮家を認めることは、これまで百二十五代続いてきた皇位継承の伝統を根底から覆しかねない》と語っていた。

 

安倍首相は第一次政権で、女性・女系天皇を容認すべきと結論づけた小泉内閣の有識者会議報告書を白紙に戻した過去がある。『文藝春秋』の手記には次のような記述もある。

 

《紀子さまのご懐妊判明時の記者会見で、「皇室典範改正の議論にも変化はあるか」という質問が記者から投げかけられた。官僚から差し入れられたメモには、「ご懐妊になられたけれど、有識者会議で出た結論を踏まえた法制化を粛々と進めていきたい」と書いてあったのである。私はそのメモを脇に押しやり、「当然、今回のご慶事のことを踏まえなければならない」「ご懐妊をふまえ静かな環境が必要、改正論議は凍結する」と自分の判断で答えた》

 

安倍首相は官僚のメモを無視し、独断で「改正論議は凍結する」と答えたことを自画自賛で語っていたのだ。

 

《そして三日後には内閣として改正法案の提出を断念する、という結論に至ったのである。そして私自身が総理大臣になってからは、悠仁さま誕生で前提が変わったので、有識者会議の報告書を白紙に戻すことにした》

 

14年前に「愛子天皇」を阻止した安倍首相は、いったいどのような「安定的な皇位継承策」を構想しているのか。その結論が出るのは、いつになるのだろうか――。

 

「女性自身」2020年5月5日号 掲載

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