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「水のような女優」だ。癖がなく、役柄にうまく溶け込むことができて、彼女なしには周りが生きない。視聴率絶好調のNHK連続テレビ小説『とと姉ちゃん』で、三姉妹の次女・鞠子を演じる相楽樹(さがらいつき、21)の人生を紐解くと、そんな言葉が浮かぶ。

 

埼玉県で3人きょうだいの長女として生まれた。小学校低学年のころ、ささいなことからいじめに遭い、土日は友達と遊ばず、ずっと家で過ごしていた。

 

「見かねた祖母が、私を遊びに連れていってくれました。巣鴨の商店街はよく来ていて、思い出がいっぱい詰まっています。おもちゃ屋のおばさんも変わりなくて懐かしい」

 

およそ10年ぶりという巣鴨の商店街を歩きながら、彼女は当時を語る。

 

初めてできた友達に誘われて始めたのが、バスケットボールだ。小学5年生から、中学卒業まで、毎日練習に明け暮れた。弟妹たちとお金を出し合って、バスケットゴールを家の前に設置した。

 

中学3年生の夏休み、バスケ部の友達と遊びに行った原宿でスカウトされた。デビューを後押ししたのは、父だった。

 

「『こんな機会はめったにないから、やってみな』と言ってくれました」

 

芝居を始めたころは、必ず舞台を観に来てダメ出しをしていたという。日常の礼儀は父に叩き込まれていた。挨拶から箸の上げ下ろしに至るまで、厳しく指導された。

10代は水着グラビアや舞台など、さまざまな仕事をこなしたが、ブレイクする機会には恵まれなかった。

 

「ドラマでセリフひとつあるだけで嬉しかった」と振り返るが、当時からすでに高いポテンシャルを発揮していた。そのころに演技指導をした劇団「五反田団」主宰の前田司郎氏は、「お年寄りにも好かれる人間力があり、演技面では自分の芝居を疑いつづける謙虚さと我慢強さがある」と話した。

 

共演者の評価も高い。ヒロイン役の高畑充希は「聖母のような包容力がある人。お芝居のときは、常子(主人公)の発信したものを、さらっと受けてくれることに本当に助けられています。カメラの回っていないところでも、ものまねの無茶振りにも応えてくれるユーモラスさがある」と話す。

 

辛い時期を乗り越えて、朝ドラという華やかな舞台に出演することになっても、謙虚さは変わらない。

 

「こうして支えてくれた家族や、友人、周りの方々に演技を通して恩返しできることが嬉しいです」

 

(週刊FLASH 2016年6月14日号)